すべてが猫になる

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2017-01-01から1年間の記事一覧

暗い越流  (ねこ4匹)

若竹七海著。光文社文庫。 凶悪な死刑囚に届いたファンレター。差出人は何者かを調べ始めた「私」だが、その女性は五年前に失踪していた!(表題作)女探偵の葉村晶は、母親の遺骨を運んでほしいという奇妙な依頼を受ける。悪い予感は当たり…。(「蝿男」)先の読…

逃走  (ねこ3.7匹)

薬丸岳著。講談社文庫。 死んだはずのあの男がいた。小さかった妹とふたりで懸命に生きてきた21年間はなんだったんだ?傷害致死で指名手配されたのは妹思いで正義感が強い青年。だが罪が重くなるとわかっていても彼は逃げ続ける。なんのために?誰のために?渾…

不良品探偵  (ねこ3.8匹)

滝田務雄著。創元推理文庫。 手遅れ確定のダメ人間、ネジの抜け落ちた規格外の頭脳を太い鉄筋でつなぎとめている男。白城一馬の変わり者の先輩・藍須救武を評する言葉は数あれど、端的に言うならば、「伝説の不良品」だ。普段はしようもないお馬鹿な言動で一…

夜のフロスト/Night Frost  (ねこ3.8匹)

R・D・ウィングフィールド著。芹澤恵訳。創元推理文庫。 流感警報発令中。続出する病気欠勤に、ここデントン警察署も壊滅状態。それを見透かしたように、町には中傷の手紙がばらまかれ、連続老女切り裂き犯が闇に躍る。記録破りの死体の山が築かれるなか、…

虚ろな十字架  (ねこ3.8匹)

東野圭吾著。光文社文庫。 中原道正・小夜子夫妻は一人娘を殺害した犯人に死刑判決が出た後、離婚した。数年後、今度は小夜子が刺殺されるが、すぐに犯人・町村が出頭する。中原は、死刑を望む小夜子の両親の相談に乗るうち、彼女が犯罪被害者遺族の立場から…

自覚 隠蔽捜査5.5  (ねこ3.8匹)

今野敏著。新潮文庫。 畠山警視は実技を伴うスカイマーシャルの訓練中、壁に直面する。彼女は共に難事件を乗り越えた竜崎に助言を求めた(「訓練」)。関本刑事課長は部下戸高の発砲をめぐり苦悩した。そこで竜崎の発した一言とは(表題作)。貝沼副署長、久米地…

熊と踊れ/BJОRNDANSEN  (ねこ3.7匹)

アンデシュ・ルースルンド&ステファン・トゥンベリ著。ヘレンハルメ美穂・羽根由訳。ハヤカワ文庫。 凶暴な父によって崩壊した家庭で育ったレオ、フェリックス、ヴィンセント三人兄弟。独立した彼らは、軍の倉庫からひそかに大量の銃器を入手する。その目的…

今だけのあの子  (ねこ4.3匹)

芦沢央著。創元推理文庫。 新婦とは一番の親友だと思っていたのに。大学の同じグループの女子で、どうして私だけ結婚式に招かれないの…(「届かない招待状」)。環境が変わると友人関係も変化する。「あの子は私の友達?」心の裡にふと芽生えた嫉妬や違和感が積…

アキラとあきら  (ねこ4.4匹)

池井戸潤著。徳間文庫。 零細工場の息子・山崎瑛と大手海運会社東海郵船の御曹司・階堂彬。生まれも育ちも違うふたりは、互いに宿命を背負い、自らの運命に抗って生きてきた。やがてふたりが出会い、それぞれの人生が交差したとき、かつてない過酷な試練が降…

旧談  (ねこ3.7匹)

京極夏彦著。角川文庫。 雨が降りしきる夜道でうずくまる女に遭遇した、実直な武士のUさん。20年便所から出てこなかった商家のIさん。酒好きのMさんと一人娘を心配して狐に相談した女房の幽霊。猫になったYさんの母親。さらには、「稲生物怪録」や「播州皿屋…

青鉛筆の女/Woman with a Blue Pencil  (ねこ4.2匹)

ゴードン・マカルパイン著。古賀弥生訳。創元推理文庫。 2014年カリフォルニアで解体予定の家から発見された貴重品箱。そのなかには三つのものが入っていた。1945年に刊行されたパルプ・スリラー。編集者からの手紙。そして、軍支給の便箋に書かれた『改訂版…

静かな炎天  (ねこ3.8匹)

若竹七海著。文春文庫。 ひき逃げで息子に重傷を負わせた男の素行調査。疎遠になっている従妹の消息。依頼が順調に解決する真夏の日。晶はある疑問を抱く(「静かな炎天」)。イブのイベントの目玉である初版サイン本を入手するため、翻弄される晶の過酷な一日…

ムカシ×ムカシ  (ねこ3.7匹)

森博嗣著。講談社文庫。 東京近郊に広大な敷地をもつ百目鬼家は大正期の女流作家、百目一葉を世に出した旧家。その息子夫妻が屋敷内で刺殺され、遺品の製理と鑑定を請け負ったSYアート&リサーチの小川と真鍋、アルバイトの永田は新たな殺人に遭遇する。古い…

にぎやかな眠り/Rest You Merry  (ねこ3.5匹)

シャーロット・マクラウド著。髙田惠子訳。創元推理文庫。 農業大学のある田舎町バラクラヴァに、今年もクリスマスがやってきた。町をあげての浮かれ騒ぎを見に、群衆が押し寄せる季節が。毎年の喧噪に業を煮やした大学教授のシャンディは、自宅をどぎつく飾…

悪党  (ねこ3.8匹)

薬丸岳著。角川文庫。 探偵事務所で働いている佐伯修一は、老夫婦から「息子を殺し、少年院を出て社会復帰した男を追跡調査してほしい」という依頼を受ける。依頼に後ろ向きだった佐伯だが、所長の木暮の命令で調査を開始する。実は佐伯も姉を殺された犯罪被…

その手をにぎりたい  (ねこ4.2匹)

柚木麻子著。小学館文庫。 八十年代。都内で働いていた青子は、二十五歳で会社を辞め、栃木の実家へ帰る決意をする。その日、彼女は送別会をかね、上司に連れられて銀座の高級鮨店のカウンターに座っていた。彼女は、そのお店で衝撃を受ける。そこでは、職人…

邂逅 シドニー州都警察殺人捜査課/Hades  (ねこ2.8匹)

キャンディス・フォックス著。冨田ひろみ訳。創元推理文庫。 シドニーのマリーナで、海底に沈められたスチール製の収納ボックスが発見された。1メートル四方の箱には全身傷だらけの少女の遺体が収められ、周囲から同様の遺体の入ったボックスが20も見つかっ…

何者  (ねこ3.8匹)

朝井リョウ著。新潮文庫。 就職活動を目前に控えた拓人は、同居人・光太郎の引退ライブに足を運んだ。光太郎と別れた瑞月も来ると知っていたから――。瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を交えた5人は就…

ifの悲劇  (ねこ3.7匹)

浦賀和宏著。角川文庫。 小説家の加納は、愛する妹の自殺に疑惑を感じていた。やがて妹の婚約者だった奥津の浮気が原因だと突き止め、奥津を呼び出して殺害。しかし偽装工作を終え戻る途中、加納の運転する車の目の前に男性が現れて…。ここから物語はふたつ…

最良の嘘の最後のひと言  (ねこ3匹)

河野裕著。創元推理文庫。 世界的な大企業・ハルウィンが「4月1日に年収8000万で超能力者をひとり採用する」という告知を出した。審査を経て自称超能力者の7名が、3月31日の夜に街中で行われる最終試験に臨むことに。ある目的のために参加した大学生・市倉は…

眩談  (ねこ3.8匹)

京極夏彦著。角川文庫。 僕が住む平屋は少し臭い。とくに薄暗い廊下の真ん中にある便所は臭く、そして怖い。ある日の夕暮れに、暗くて臭い便所へ向かうと…(「便所の神様」)。無職になった私は秩父にある実家に戻った。ただし私は家が好きになれない。得体の…

ハイ・ライズ/HIGH-RISE  (ねこ3.8匹)

J・G・バラード著。村上博基訳。創元SF文庫。 ロンドン中心部に聳え立つ、知的専門職の人々が暮らす新築の40階建の巨大住宅。1000戸2000人を擁し、マーケット、プール、ジム、レストランから、銀行、小学校まで備えたこの一個の世界は、10階までの下層部…

黒い画集  (ねこ4匹)

松本清張著。新潮文庫。 安全と出世を願って平凡に生きる男の生活に影がさしはじめる。"密通"ともいうべき、後ろ暗く絶対に知られてはならない女関係。どこにでもあり、誰もが容易に経験しうる日常生活の中にひそむ深淵の恐ろしさを描いて絶讃された連作短編…

双蛇密室  (ねこ4匹)

早坂吝著。講談社ノベルス。 「援交探偵」上木らいちの「お客様」藍川刑事は「二匹の蛇」の夢を物心付いた時から見続けていた。一歳の頃、自宅で二匹の蛇に襲われたのが由来のようだと藍川が話したところ、らいちにそのエピソードの矛盾点を指摘される。両親…

ハリー・クバート事件/La Verite sur l'affaire Harry Quebert (ねこ4.6匹)

ジョエル・ディケール著。橘明美訳。創元推理文庫。 デビュー作でベストセラー作家となったマーカス・ゴールドマンは、二作目が書けずに苦しみ、大学の恩師で国民的大作家ハリー・クバートに助言を求めるが、そのハリーが33年前に失踪した美少女殺害容疑で逮…

さよならの手口  (ねこ3.9匹)

若竹七海著。文春文庫。 探偵を休業し、ミステリ専門店でバイト中の葉村晶は、古本引取りの際に白骨死体を発見して負傷。入院した病院で同室の元女優の芦原吹雪から、二十年前に家出した娘の安否についての調査を依頼される。かつて娘の行方を捜した探偵は失…

リバース  (ねこ3.8匹)

湊かなえ著。講談社文庫。 深瀬和久は平凡なサラリーマン。自宅の近所にある“クローバー・コーヒー”に通うことが唯一の楽しみだ。そんな穏やかな生活が、越智美穂子との出会いにより華やぎ始める。ある日、彼女のもとへ『深瀬和久は人殺しだ』と書かれた告発…

堆塵館/Heap House  (ねこ4.8匹)

エドワード・ケアリー著。古屋美登里訳。東京創元社。 19世紀後半、ロンドンの外れの巨大なごみ捨て場。幾重にも重なる屑山の中心に「堆塵館」という巨大な屋敷があり、ごみから財を築いたアイアマンガー一族が住んでいた。一族の者は、生まれると必ず「誕生…

ひとり吹奏楽部 -ハルチカ番外篇  (ねこ3.8匹)

初野晴著。角川文庫。 マレンと成島の夢は、穂村と上条の夢を叶えることだ―。部を引退した片桐元部長から告げられ、来年のコンクールへの決意を新たにする芹澤直子。ギクシャクした関係を続けるカイユと後藤朱里。部の垣根を越えてある事件を解決するマレン…

世界で一つだけの殺し方  (ねこ4匹)

深水黎一郎著。講談社文庫。 10歳の少女が両親と訪れたのは、不思議な現象が次々と起こる街だった。そこで奇怪な殺人事件が。(「不可能アイランドの殺人」)動物園でのピアノ・コンサートの最中に象が暴れ出し、飼育員が死亡した。事故と思われた出来事の、驚…