すべてが猫になる

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何者  (ねこ3.8匹)

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就職活動を目前に控えた拓人は、同居人・光太郎の引退ライブに足を運んだ。光太郎と別れた瑞月も来ると知っていたから――。瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を交えた5人は就活対策として集まるようになる。だが、SNSや面接で発する言葉の奥に見え隠れする、本音や自意識が、彼らの関係を次第に変えて……。直木賞受賞作。(裏表紙引用)

 

 

初読み朝井さん。あら?私これ結構好きかも。

 

登場人物は、冷静分析男子の拓人、地味系真面目女子の瑞月、意識高い系女子の理香、天真爛漫男子の光太郎、理香の彼氏で空想クリエイター系男子の隆良。サブとして拓人の先輩サワさん、拓人曰く隆良と同類の烏丸ギンジ。

 

メインの5人は現在就活真っ最中で、ひょんなことから彼らは定期的に理香と隆良が住むアパートの1室で就職対策を練ることになる。世代的に皆ツイッター(みたいなもの)をやっているんだね。SNSの内容が現実と微妙に違うというか、見栄というか、話を盛ってる感じなのがリアル。仲間最高!みたいな。全員が全員、腹に一物あるのにSNSでは全くそれを感じさせない。

 

見事だなあと思ったのが、読んでいるこちら側に「バカだなあ、人間関係薄っぺらいなあ」と思わせておいて、徐々にこちらにも思い当たる節があることに気づかされて苦笑するところ。
ここにいる理香だって瑞月だって、大学生で頭も良くて普通じゃ出来ない色々な経験をして、「何者」かにはなれなかったとしても、他人から見たら立派な若者だと思うけどなあ。あがくのは青春の特権だから挫折はしたほうがいいかもしれないけど。演劇やっています。インターンの経験があります。他人と違う感性を持っています。だけど蓋を開ければ羨ましがられる人間なんてそうはいない。

 

ただ、ラストがちょっと消化不良だった。現実こんなものかもしれないけど、拓人の面接中の姿を見てこりゃダメだと思ったな。まあこんなことを上から目線で思っている自分のことも誰かに分析されそうだからこのへんでやめとく。

 

映画も観たいな。佐藤健くんが拓人って違和感あるなあ。下手ってことじゃなく、拓人のあの屈折した感じをあんな爽やかイケメンに出せるのかなあと思って。他のキャストは合ってる感じがする。理香役の二階堂ふみちゃんがキレるところ見てみたい。朝井作品は他のもこんな感じなんだろうか。たまたまストーリーが自分に合ったのかな。他のも読んでみよう。どれがいいかなー。