すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

2012-01-01から1年間の記事一覧

図書室の海  (ねこ3.9匹)

恩田陸著。新潮文庫。 あたしは主人公にはなれない―。関根夏はそう思っていた。だが半年前の卒業式、夏はテニス部の先輩・志田から、秘密の使命を授かった。高校で代々語り継がれる“サヨコ”伝説に関わる使命を…。少女の一瞬のときめきを描く『六番目の小夜子…

水の柩  (ねこ3.8匹)

道尾秀介著。講談社。 老舗旅館の長男、中学校二年生の逸夫は、自分が“普通”で退屈なことを嘆いていた。同級生の敦子は両親が離婚、級友からいじめを受け、誰より“普通”を欲していた。文化祭をきっかけに、二人は言葉を交わすようになる。「タイムカプセルの…

魔術王事件  (ねこ3.7匹)

二階堂黎人著。講談社文庫。 函館の実家に伝わる3つの家宝のうち<炎の眼>を持ち出した銀座のホステス・ナオミ(=宝生奈々子)を大胆なトリックで殺害した殺人鬼「魔術王」メフィストは、残る<白い牙><黒の心>を狙って宝生家の縁者を襲う。奇術道具の…

おとぎのかけら  新釈西洋童話集  (ねこ3.6匹)

千早茜著。集英社。 本当に幸せなのは誰か? 現代のおとぎ話7篇 シンデレラ、白雪姫、みにくいアヒルの子など代表的西洋童話を現代日本に置き換えた短篇集。童話の結末に疑問を抱く著者が見つけた、それぞれのハッピーエンドとは? 泉鏡花文学賞受賞後第一…

パーフェクト・ブルー  (ねこ3.8匹)

宮部みゆき著。創元推理文庫。 高校野球界のスーパースターが全身にガソリンをかけられ、焼き殺されるというショッキングな事件が起こった。俺――警察犬のマサは、現在の飼い主、蓮見探偵事務所の調査員、加代子と共に落ちこぼれの少年、諸岡進也を探し当て、…

夜の終りに/Chase  (ねこ3.5匹)

ディーン・R・クーンツ著。扶桑社ミステリー文庫。 ある夜、異常犯罪者に襲われた少女を救った青年チェイス。彼はヴェトナムで傷つき、ただこの田舎町で平穏な生活を送ることだけを望んでいた。そのチェイスのもとに謎の男から夜ごと電話がかかりはじめる。…

泪坂  (ねこ3.7匹)

倉阪鬼一郎著。光文社文庫。 江戸指物師・橋上清次は、嫁ぐ娘のために姫鏡台を造っていた。ほぼ完成しているそれが仕上げられることはない。娘は手の届かないところへ行ってしまったのだから……。思い出に浸る日々を送る彼の心の糧は、泪坂の住人たちとの交流…

パパはビリー・ズ・キックを捕まえられない/Billy-Ze-Kick  (ねこ4.2匹)

ジャン・ヴォートラン著。草思社。 パリ郊外の団地で、結婚式をあげたばかりの花嫁が射殺される。純白のウエディングドレスの胸を真っ赤に染めた花嫁が握りしめていたのは一枚の紙切れ。そこにはこう書かれてあった。「ネエちゃん、おまえの命はもらったぜ!…

アミダサマ  (ねこ3.6匹)

沼田まほかる著。新潮文庫。 幼子の名はミハル。産廃処理場に放置された冷蔵庫から発見された、物言わぬ美少女。彼女が寺に身を寄せるようになってから、集落には凶事が発生し、邪気に蝕まれていく。猫の死。そして愛する母の死。冥界に旅立つ者を引き止める…

最後のウィネベーゴ/The Last of the Winnebagos  (ねこ4匹)

コニー・ウィリス著。河出書房新社 奇想コレクション。 愛するものを失う痛みと、滅びゆくものへの哀惜、そして赦し。犬が絶滅してしまった近未来のアメリカで孤独な男が出逢う、ささやかな奇蹟…。読後に深い余韻を残す表題作から抱腹絶倒コメディまで、アメ…

百器徒然袋――風  (ねこ4.4匹)

京極夏彦著。講談社文庫。 調査も捜査も推理もしない、天下無敵の薔薇十字探偵、榎木津礼二郎。過去の事件がきっかけで榎木津の”下僕”となった「僕」は、そのせいで別の事件にも巻き込まれてしまう。探偵を陥れようと、張り巡らされた罠。それに対し、榎木津…

豚は太るか死ぬしかない/Pigs Get Fat  (ねこ3.7匹)

ウォーレン・マーフィー著。ハヤカワ文庫。 仕事はいやだが、日系人の大集会に出るよりはまし――チコとトレースはサンフランシスコへ向かった。トレースの今回の仕事は、多額の生命保険をかけ失踪した不動産屋の事件だった。家に残された妻は警察沙汰になるの…

みんな邪魔  (ねこ3.8匹)

真梨幸子著。幻冬舎文庫。 少女漫画『青い瞳のジャンヌ』をこよなく愛する”青い六人会”。噂話と妄想を楽しむ中年女性たちだったが、あるメンバーの失踪を機に正体を露にし始める。飛び交う嘘、姑息な罠、そして起こった惨殺事件――。辛い現実から目を背け、ヒ…

ノーマジーン  (ねこ3.8匹)

初野晴著。ポプラ社。 車椅子で生活をする鞄職人のシズカと、純真無垢なサルとの凸凹な"ふたり暮らし"。一日一杯のミルクをわけあい、収穫を待ちわびながらリンゴの木を育て、映画を観る約束をする――。しかし、隠された彼の"秘密"が明かされるとき、物語は終…

猫の手/Cat's Paw  (ねこ3.8匹)

ロジャー・スカーレット著。新樹社。 年老いた、子のない大富豪の豪邸。彼の誕生日に集まった肉親たち。その夜起こる殺人事件。複雑な謎が絡みあう事件の手がかりはどこに? 江戸川乱歩も愛した作家による、本格派ミステリー。 <エラリー・クイーンのライヴ…

ある少女にまつわる殺人の告白  (ねこ3.7匹)

佐藤青南著。宝島社。 長崎県南児童相談所の元所長らが語る、ある少女をめぐる忌わしい事件。10年前にいったい何が起きたのか。様々な証言が当時の状況を明らかにしていく……。2011年「このミス」大賞優秀賞受賞作。 「このミス」大賞作品はかつて4、…

ミドルセックス/Middlesex  (ねこ4.5匹)

ジェフリー・ユージェニデス著。早川書房。 デズデモーナとレフティーは姉弟でありながら、深く愛し合っていた。1922年、ギリシャとトルコの戦争で村が壊滅し、二人はいとこ夫婦を頼りにアメリカ、デトロイトへ夫と妻として渡る。やがて、二組の夫婦の子供、…

UFO大通り  (ねこ3.9匹)

島田荘司著。講談社文庫。 鎌倉の自宅で、異様な姿で死んでいる男が発見された。白いスーツを体にぐるぐる巻き、ヘルメットとゴム手袋という重装備。同じ頃、御手洗潔は、この男の近所に住むラク婆さんの家の前を、UFOが行き交うことを聞き及ぶ。果たして…

往復書簡  (ねこ3.8匹)

湊かなえ著。幻冬舎。 高校卒業以来十年ぶりに放送部の同級生が集まった地元での結婚式。女子四人のうち一人だけ欠けた千秋は、行方不明だという。そこには五年前の「事故」が影を落としていた。真実を知りたい悦子は、式の後日、事故現場にいたというあずみ…

奇面館の殺人  (ねこ4.2匹)

綾辻行人著。講談社文庫。 奇面館主人・影山逸史が主催する奇妙な集い。招待された客人たちは全員、館に伝わる“鍵の掛かる仮面”で顔を隠さねばならないのだ。季節外れの大雪で館が孤立する中、“奇面の間”で勃発する血みどろの惨劇。発見された死体からは何故…

精霊たちの家/La Casa de Los Espiritus  (ねこ3.8匹)

イザベル・アジェンデ著。国書刊行会。 前世紀末からチリ・クーデターまでの一世紀を舞台に、奇想天外なエピソードと奇態な人物がとめどもなくつむぎ出される、幻想と恐怖と笑いに充ちみちた年代記。奔放な想像力と見事な語り口によって、現実と非現実のはざ…

~2012すべ猫ランキングがすごい!~

どうもみなさまこんばんは。 今ごろ何やってんだと思わないで下さいお願いしますお願い。今年はランキング記事やらなくていっか~などと思っていたのですが、来年は絶対やるのでその時どの本からカウントしていいのか困るなーとか ごちゃごちゃ考えたり考え…

不祥事  (ねこ4.2匹)

池井戸潤著。講談社文庫。 ベテラン女子行員はコストだよ――そう、うそぶく石頭の幹部をメッタ斬るのは、若手ホープの"狂咲"こと花咲舞。トラブルを抱えた支店を回って業務改善を指導する花咲は、事務と人間観察の名手。歯に衣着せぬ言動で、歪んだモラルと因…

煙突掃除の少年/The Chimney Sweeper's Boy  (ねこ3.9匹)

バーバラ・ヴァイン著。ハヤカワポケット・ミステリ。 小説家ジェラルド・キャンドレスは7月6日に71歳で永眠した。1926年5月10日生まれ―父の回想録の執筆をもちかけられたキャンドレスの娘サラは、自分が父の過去をほとんど知らないことに気づいた。さっそく…

11 eleven  (ねこ4.2匹)

津原泰水著。河出書房新社。 業界を震撼させた『綺譚集』から7年、津原泰水が贈る、待望にして究極の作品集がついに刊行。著者ベスト短篇との声も上がっている「五色の舟」を筆頭に、「11」の異界の扉が開かれる。 正月休みに張り切って大作を読むとどこか…