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最後のウィネベーゴ/The Last of the Winnebagos  (ねこ4匹)

 

愛するものを失う痛みと、滅びゆくものへの哀惜、そして赦し。犬が絶滅してしまった近未来のアメリカで孤独な男が出逢う、ささやかな奇蹟…。読後に深い余韻を残す表題作から抱腹絶倒コメディまで、アメリカSF界の女王ウィリスのベスト・オブ・ザ・ベスト4本を厳選する傑作集。ヒューゴー賞ネビュラ賞・SFクロニクル誌読者賞・ローカス賞他、収録作4篇あわせて全12冠。


あまりにも面白そうすぎて手が出せない作家というものというのが私には2人いる。自分には敷居が高いのではないか、合わなかったときのショックは尋常ではないのではないかという恐れももちろんあるが、要はただのタイミング^^;このコニー・ウィリスがまさにそうで、何年も前から読みたいなー読みたいなーと思っていて、読んだ気になっていた。ちなみにもう1人はスタンリイ・エリンです^^


で、本書。全印象は後にして、まずは1つずつ。

 

「女王様でも」
短編。近未来かな。家父長制バンザイ、みたいな社会に疑問も持たず生きる女性たち。これはある家族にスポットをあてているのだが、娘が突然「私はサイクリストになる」と宣言。パニクった家族たちは娘を呼び出して会議を開くことに。てか、サイクリストってなんやねん??と思いながら読み続けると、それが女性の「生理」解放のことなんだよね^^;はっはっは^^;菜食ってか花食主義だったりもするし、メッセージ性もあるし会話がかなり面白いな。ぶっちゃけ、ちょっと引いたけど(笑)。


タイムアウト
中編。タイムスリップものかと思いきや、実際はドクターのナントカカントカ時間転移プロジェクトの薀蓄。現在子の概念ってなんだ。イーデルマンポノッフォってだれだ。その横で展開する「中年の恋愛」模様がメインストーリーに間違いない。時間移動?に翻弄されるカップルの顛末はまるでドタバタコメディ。しかしドクターの発明無責任すぎないか^^;


「スパイス・ポグロム
中編。人類がエイリアンと遭遇したその後のお話。宇宙開発計画の譲渡についてエイリアンと交渉中のご様子。主人公のクリスが住んでいるソニー(笑)に、エイリアンたちをホームステイさせられているのだけどエイリアンは買い物はすごいわスペースはないわでかなり住居不足状態が深刻。しかも、エイリアンにちゃんと「ミスター・オオギヒフォエエンナヒグレエ」と正確に呼ばないとキレられるらしい(笑)ま、言葉を理解しているのかしていないのか?という問題があって、意味の取り違えの可能性などなどで色々クリスは困ったことになるわけ。なんだかさっぱりわからん、面白すぎて。


「最後のウィネベーゴ」
中編。表紙がワンコなので、てっきり「ウィネベーゴ」ってワンコのことかと思っていたのだけど、違ったわん。キャンピングカーのことらしい。そして、この時代では犬を殺したら犯罪となっていて。犬の死骸を発見したら通報しないとそれも犯罪らしい。主人公のカメラマンが遭遇した事件と、キャンピングカーを使用している老夫婦が絡んだお話。ちょっと人情味があったりしてなかなか。



以上~。後3編が長いので、4編しか収録されておりません^^

 

いやあ、正直後3編は半分くらいしかわからなかった(笑)。けど、わからないからつまらないとは限らないのね。感覚的に楽しめるし。なんかお話の説明をするのに精一杯でもあるし、そして的確にあらすじは書けたとしてもこの面白さの半分も伝わらないだろうなという部類の小説。私が10分説明するより、この本を3行読むほうがずっと理解は早いと思われる。奇想の宝石箱って感じですわ。まいった。