すべてが猫になる

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リターン  (ねこ3.8匹)

五十嵐貴久著。幻冬舎文庫。

高尾で発見された手足と顔がない死体は、十年前ストーカー・リカに拉致された本間だった。警察官を殺し、雲隠れしていたリカを追い続けてきたコールドケース捜査班の尚美は、同僚の孝子と捜査に加わる。捜査が難航する中、孝子の恋人、捜査一課の奥山の連絡が途絶えた。彼の自宅に向かった二人が発見したのは……。『リカ』を超える衝撃の結末。(裏表紙引用)
 
「リカ」シリーズ第2弾。
 
大昔に1作目を読んで、もう何冊も続編が出ていることは横目で知っていたが。。。
今ごろになって(個人的にホラーブーム中なので)追いかける気になったという。。
 
今回は菅原刑事(リカにやられた)が意識不明の重態になっていて~~
鞍馬山に捨てられていたスーツケースから手足と目と鼻と口のない本間(リカに拉致された被害者)の遺体が発見されて~~~
その部下・コールドケース捜査班の尚美と孝子が捜査にあたり~~
その上司の奥山刑事(孝子の恋人)が同じように手足などなどを切られた他殺死体で発見されて~~~~
本間が死んだのであっさり山に捨てたリカは新たに出会い系サイトに現れて~~~~
尚美たちがニセのメールでリカをおびき出し~~~~
 
対決!!!
 
みたいな。
いやもう、面白くってね。1時間で200ページくらい読めたぞ。
リカがなかなか姿を現さない焦らす感じも緊張を煽ったし、恋人を殺されて復讐に燃える刑事の先走った感じも危なっかしくてハラハラしたし、なによりリカの話し方とか存在がちゃーんとキモい。
 
続編いっぱい出てるんで分かってるよ、死んでないんでしょ。
 

マルチの子  (ねこ3.9匹)

西尾潤著。徳間書店。

 実体験をもとに 「マルチ商法」の深淵を描き切った 震慄のサスペンス! 賢い姉、愛らしい妹に比べて自分には何もない。 夢を持てず、鹿水真瑠子は毎日をなんとなく 過ごしていた。 そんなある日、バイト先の掲示板 不思議な貼り紙を目にする。 「磁力と健康セミナー・無料開催」 それは地獄への扉だった――。 認めてほしい。 ただその一心で始めただけなのに、 どうしてこんなことになってしまったのだろう。 マルチ商法にハマった女性の “乱高下人生"をリアルに描く、 ノンストップサスペンス!(紹介文引用)
 
初読み作家さん。
 
めっちゃ読みやすい。
めっちゃ面白い。
 
「愚か者の身分」の原作者、と言った方が通じるのかな?ネットで見てなんとなく面白そうだったので読んでみた。マルチ商法にどっぷりハマった若い女性の物語なんだけど、これ作者の実体験を元にしているんだって。現在作者の西尾さんはメイクアップアーティストとしてもご活躍なんだとか。若い頃はマルチ商法で700万もの借金を抱えてしまったらしい。なぜ、売る側が借金地獄に陥るのか。マルチ商法の裏側に迫る。
 
私が若い頃は「ねずみ講」と呼ぶのが一般的だったな。まあ、これを読む限りそれをやっている側は「ねずみ講とわれわれとの違い」を熱心に説くのだろうけど。真瑠子たちは本気で商品を愛しているとか、ねずみ講ではない!と盲信しているとかじゃなく、心のどっかではヤバいことしている自覚がある感じがしたな。こういうものにハマるのはまだ人生経験の浅い若い子に多いイメージ。私が若い頃も2人いたよ、やってる子。1人は補整下着でもう1人はアム〇ェイ。どっちの子もクラスでハミってる感じだったな。で、儲けてる感じもまったくなかった、当たり前だけど。
 
この小説の主人公、真瑠子は家族に認められたくて、周りに尊敬されたり頼られたりしたくてマルチにハマったのかなあという印象。友だちのいないタイプの子がこのビジネスを通して「仲間」が出来るんだもんね、そりゃハマるわ。お金というより寂しさを埋めたかったり承認欲求が人より強かったりするんだろうね。育った環境も大きそう。
 
もう私みたいな多くの普通の人はやる前から分かってるからやらないんだけど、案の定これこれこうやって儲かる、みたいなプレゼンをしている登場人物たちみんな、まったく稼げていないんだよね。。。稼げていない人(一般の人レベルの収入どころか、売上のために自分で商品を購入するなんてザラで、名義をあちこちで借りてローンを抱えたり消費者金融に走ったり。。。)でもいつかランクを上げてゴールドになる!天下を取る!みたいな大きい夢を掲げてる。どっかで気づかないのかな。。。
 
まあ当然真瑠子たちの人生はわかりやすく転落していくんだけども、破綻した後が思ったよりなんとかなって良かったって感じ。。。。と思ったらどんでん返しがあるんだけども。。個人的にはこれいらなかったな。ミステリのテクニックとしてはアリなんだろうけども。読後感わるい。

ターングラス 鏡映しの殺人/Turnglass  (ねこ3.8匹)

ガレス・ルービン著。越前敏弥訳。早川書房。

1881年イギリス、エセックスのターングラス館で起こった毒殺事件。事件解明の鍵は、館に監禁された女性が持つ一冊の本にあるという。一方、1939年アメリカ、カリフォルニアでは推理作家が奇妙な死を遂げる。彼は、死ぬ間際に58年前の毒殺事件の物語を書いていた。(紹介文引用)
 
初読み作家さん。
2025年本ミス7位作品ということで予約してみたが、届いてビックリ、単行本だった。しかも、かなり重めの。字も詰まりぎみ、小さめ。
 
(さて)、こちらはテート・ベーシュという、2つの中編から成り、天地をひっくり返せばどちらの作品からも読める、という手法を取った作品である。<エセックス編(1881年)><カリフォルニア編(1939年)>と記されており、まあ最初に正しい向きで収録されている<エセックス編>から読むことにした。時系列の関係もあるしね。まあ、すべて読んでみて、この順番で正解だったかな、と思った。
 
<エセックス編>はレイ島のターングラス館にやってきた医師の話。ターングラス館の主人オリヴァーの診察のため島を訪れたシメオン医師だが、オリヴァーは自分が誰かに毒を盛られていると断言する。しかもオリヴァーの身内であるジェイムズを殺したとされるその妻フローレンスが、図書室に設置されたガラスの檻に閉じ込められていたのだ。
フローレンスから謎のメッセージを受け取ったシメオンは真相解明に乗り出すが・・。
 
<カリフォルニア編>の舞台はロス。こちらの主人公は役者志望の若者ケン。パーティーで知り合ったターングラス館(複製)の主人の息子と仲良くなるが、ある夜息子が拳銃自殺体で発見される。これは殺人だと断定したケンは、友人の妹コララインと共に謎の解明に乗り出す。
 
<エセックス編>には<作中作(事件の真相とされる小説、日記)>があるのでまたややこしい。<エセックス編>に登場した人物が別の立場で登場するので最初は全くわけがわからない。。シメオンは告発者なのか犯罪の協力者なのか?フローレンスは本当に夫を殺したのか?オリヴァーと死体で見つかった無軌道な若者との関連は?などなど、前編とつなぎ合わせ事件の真相は実はこうだと後編で判明する仕掛け。
 
なかなか凝った構成で楽しめたが、真実が本当にそうなのか、という想像の余地が残されておりちょっと消化不良な気分。こ、こんなに苦労してながなが読んだのに。。。

街角ハルシネーション 探偵AIのリアル・ディープラーニング  (ねこ3.5匹)

 

早坂吝著。新潮文庫。

「探偵AI」シリーズ累計25万部突破! AI探偵VS.生成AI 疑惑の写真の謎を解け! 一見何の変哲もない1枚の風景写真。その隅には「Pasta Itally」のテラス席、6本指のウェイトレス、スパゲティを吐き出す客、そして奇妙な転び方の男が写っていた。生成AIのハルシネーションそっくりな光景だが、AI探偵事務所を訪れた依頼人は、それは確かに現実の風景だと主張する。探偵のAI・相以とともに疑惑の写真の調査に乗り出した輔は、犯人のAI・以相に急襲され、拉致監禁されてしまった。はたして相以は、すべての謎を解き、相棒を救出することができるのか。生成AI時代の本格AI探偵推理バトル、誕生!
 
探偵AIシリーズ新刊。いつの間に出てたんだ。
 
う~ん、今回かなり失速したような。。。
もっと面白いシリーズだったような。。。
 
扱う内容がなんか地味。写真が生成AIではないことを証明する、ってだけで長編にするとは思わなかった。とはいえ輔が以相に誘拐されたりその誘拐した以相ごとあのキャラに誘拐されたり、ヤクザが登場したりと結構しっちゃかめっちゃか。そっちをメインだと考えれば楽しいのかもしれないが、あくまで相以と以相の頭脳戦を楽しみたかった私としてはかなり肩すかし。ヤクザ絡むものが好きじゃないし、、相以と輔が引き離されるので以相と輔コンビみたいになっちゃった。
 
謎の写真の謎解きやらミステリー部分はイマイチだったね~。キャラクター先行じゃなくてロジックが強い作家さんだったはずなんだけど。もう続きはいいや。

偽妹/Like a Sister  (ねこ3.8匹)

ケリー・ギャレット著。矢島真理訳。ハヤカワ文庫。

リアリティ番組の有名人、デジレが遺体で発見され、警察は薬物注射による自殺と断定。しかし注射の苦手な妹はそんな方法を選ばないと考えた異母姉のリーナは、事件を調べ始める。だが周囲の証言からデジレが犯罪に関与していた可能性が浮上する。友人たちが語る姿と、記憶の中のわがままだが優しい妹像との乖離に困惑するリーナ。自分の知らないところで妹に何があったのか。妹の影を追いかけたその先で、衝撃の結末が!(裏表紙引用)
 
 
初読み作家さん。
ランキングに入っているつもりで読んだのだが、後で確認したらどこにも入っていなかった、なぜこれを読もうと思ったのだろう、なぞ。グラミー賞候補だから?うん、きっとそうだ。
 
で、こちらは黒人セレブのヒロイン・リーナの物語。父親が音楽レーベルの社長っていうね。家族関係は複雑で、リーナと父親は仲が悪い。んで、現母親の娘が今回死体となるデジレ。つまりリーナの義妹なんだけどタイトルは「偽妹」。デジレのことではないんだよね。デジレはまあまあ有名なインフルエンサーで、リーナとは数年前に大喧嘩してからクチも利かない状態。それでも義妹が殺されたっていうことで、一生懸命調べるわけ。
 
面白いんだけど、ひたすら長いのがネック。素人探偵な上、お金持ちながらも黒人ということで受ける差別や社会的地位なんかもテーマになっているので、そのあたりは興味深いところではある。言葉選びもユーモアがあって、異文化コミュニティなんかも知ることができるかな。
 
で、とにかく犯人が次から次へと変わる、っていうか「こいつが犯人だ」「違う」が何回も続くので後半は面白いしスリリングかも。特にエリンというキャラクターが個性キツくてねえ、この人掘り下げるのもアリじゃないかな。番外編とかで。

777 トリプルセブン  (ねこ3.7匹)

伊坂幸太郎著。角川文庫。

やることなすことツキに見放されている殺し屋・七尾。通称「天道虫」と呼ばれる彼が請け負ったのは、超高級ホテルの一室にプレゼントを届けるという「簡単かつ安全な仕事」のはずだった―。時を同じくして、そのホテルには驚異的な記憶力を備えた女性・紙野結花が身を潜めていた。彼女を狙って、非合法な裏の仕事を生業にする人間たちが集まってくるのだが―。一気読みエンタメ小説の最高到達点!(裏表紙引用)
 
ピ様主演、「マリアビートル」の映画がとっても面白かった(タイトル違うけど)。それと同じシリーズと言われると、まあそうなのかなって感じで(原作シリーズのほうはどれもサッパリ覚えていない)。私の場合、伊坂作品ではあまりキャラクターに思い入れとかないのでしょうがない。。
 
七尾(天道虫)(殺し屋)(ツイてない)が今回依頼を受けたのは、ウィンストンパレスホテルに泊まる客に娘からのプレゼントを届ける、というものだった。ところが届ける部屋を間違え、別の部屋にいた紙野結花(記憶力お化け)、別の依頼で場を同じくしたモウフ&マクラのコンビ、そしてコーラとソーダ、さらにその筋では名の通っている吹き矢6人衆、結花の上司・乾と元政治家ヨモピーなどなど様々な思惑に巻き込まれていく――。
 
って、登場人物が多くて書いてて自分でも全然意味が分からないが、殺し屋と依頼人とターゲットとボディーガードが同じホテルに集合し、殺したり逃げたり殺したりするお話です。ただでさえややこしいのに、吹き矢組6人もいる!?笑 全員武器が吹き矢って。。しかもみんな容姿端麗で若いのに凄腕。ファンタジーすぎる。。しかもさすが伊坂さん、この連中が軒並み性格最悪っていうね。。。ほんと、はらわた煮えくり返るぐらい憎たらしい軍団だったよ。。死して償え。ていうか身体が大きい人ほど謙虚だと思うんだけどね、リアルでは。
 
まあそれよりも極悪なラスボスが最後に登場するんだけどもね。人は権力を持つとダメね。どったんばったんと相変わらず面白かったけど、柚子胡椒チーズケーキ以外あまり残るものはないかな。

魔女と過ごした七日間  (ねこ3.7匹)

東野圭吾著。角川文庫。

AIによる監視システムが強化された日本。指名手配犯捜しのスペシャリストだった元刑事、月沢克司が何者かに殺害された。息子の陸真は父の死後、自宅で見覚えのない女性の名前が書かれた書類を見つける。不審に思い、親友とともにその人物のことを調べ始めた陸真は、やがて不思議な“力”を持つ女性、羽原円華に出会う。警察による捜査が難航する中、事情を知った円華に導かれ、陸真は自身で父の死の真相を探り始める。(裏表紙引用)
 
この記事を書いた後日、東野圭吾さんの訃報に接しました。ショックでまだ言葉もありませんが、楽しませていただいた数々の作品に感謝を。
 
 
 
<ラプラスの魔女>シリーズ。3冊目だっけ?はて。
 
あまり好きなシリーズではないので内容は完全に忘れている。映画まで観たのに。なので円華って広瀬すずだっけどうだったっけ、レベルのまま読了。まあ別に問題はなかったかなと。完全に独立したストーリーだったので。
 
内容はラプラスとプラチナデータを足して混ぜたような感じで、主人公が中学三年生の男子(陸真)というのがまず面白い。父親が殺され天涯孤独になった陸真だが、作家志望の親友・純也とコンビを組み、知り合った謎の女性円華と共に様々な困難に挑んでいく。さながら中学男子の夏休みの冒険、青春だなあ。
 
とはいえ中身は真面目で、日本がAIによって国家にDNA管理されてゆく――みたいな、現実なのか現実離れしているのか微妙なラインがテーマ。捜査本部から離れて捜査する刑事・脇坂視点でも事件は進み、円華たちと対照的な位置で動き最後にはお互いが協力しあって解決していく。真面目かと思いきや、円華が陸真に女装をさせて闇カジノに潜入したりするから「映画化狙ってんな~」って感じ。ここが1番ハラハラして、さすがエンタメ作家の帝王、読ませるねえ、と感心。女装したら誰もが振り向く美女に変身、誰にやってもらおうかな。
 
円華の存在はまあ自分にはあまり響かないんだけど、陸真と純也のコンビがとにかく生き生きしていて良かった。ちょっと年齢と境遇を考えたら落ち着き過ぎだけど、それも含めて成長物語としても悪くなかったなあ。