すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

2018-10-01から1ヶ月間の記事一覧

青白く輝く月を見たか?  (ねこ3.7匹)

森博嗣著。講談社タイガ。 オーロラ。北極基地に設置され、基地の閉鎖後、忘れさられたスーパ・コンピュータ。彼女は海底五千メートルで稼働し続けた。データを集積し、思考を重ね、そしていまジレンマに陥っていた。放置しておけば暴走の可能性もあるとして…

紙の月  (ねこ4.3匹)

角田光代著。ハルキ文庫。 ただ好きで、ただ会いたいだけだった―――わかば銀行の支店から一億円が横領された。容疑者は、梅澤梨花四十一歳。二十五歳で結婚し専業主婦になったが、子どもには恵まれず、銀行でパート勤めを始めた。真面目な働きぶりで契約社員…

予告された殺人の記録/Cronica de una Muerte Anunciada  (ねこ3.8匹)

G・ガルシア=マルケス著。野谷文昭訳。新潮文庫。 町をあげての婚礼騒ぎの翌朝、充分すぎる犯行予告にもかかわらず、なぜ彼は滅多切りにされねばならなかったのか?閉鎖的な田舎町でほぼ三十年前に起きた幻想とも見紛う殺人事件。凝縮されたその時空間に、差…

遠に呱々泣く八重の繭  (ねこ3.8匹)

高里椎奈著。講談社文庫。 薬屋店長に復帰した秋に早速舞い込んだのは、「おれの友達が、事件を起こしているかもしれない」という中学生からの調査依頼だった。「Aに関わると不幸に遭う」。そう噂される男子生徒の周りでは不可解な事故が続発していた。秋は…

地下街の雨  (ねこ3匹)

宮部みゆき著。集英社文庫。 麻子は同じ職場で働いていた男と婚約をした。しかし挙式二週間前に突如破談になった。麻子は会社を辞め、ウエイトレスとして再び勤めはじめた。その店に「あの女」がやって来た…。この表題作「地下街の雨」はじめ「決して見えな…

森に眠る魚  (ねこ4匹)

角田光代著。双葉文庫。 東京の文教地区の町で出会った5人の母親。育児を通して心をかよわせるが、いつしかその関係性は変容していた。―あの人たちと離れればいい。なぜ私を置いてゆくの。そうだ、終わらせなきゃ。心の声は幾重にもせめぎ合い、それぞれが追…

しあわせの理由/Reasons to be Cheerful and Other Stories  (ねこ4匹)

グレッグ・イーガン著。山岸真訳。ハヤカワ文庫。 12歳の誕生日をすぎてまもなく、ぼくはいつもしあわせな気分でいるようになった…脳内の化学物質によって感情を左右されてしまうことの意味を探る表題作をはじめ、仮想ボールを使って量子サッカーに興ずる人…

コンビニ人間  (ねこ4匹)

村田沙耶香著。文藝春秋。 36歳未婚女性、古倉恵子。大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。これまで彼氏なし。日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ!」の掛け声が、毎日の安ら…

ぼくのミステリ・クロニクル  (ねこ4.2匹)

戸川安宣著。空犬太郎編。国書刊行会。 東京創元社で長く編集者として活躍し、伝説の叢書「日本探偵小説全集」を企画する一方で、数多くの新人作家を発掘し戦後の日本ミステリ界を牽引した名編集者、戸川安宣。幼い頃の読書体験、編集者として関わってきた人…

図書館の殺人  (ねこ4匹)

青崎有吾著。創元推理文庫。 期末テスト中の慌ただしい9月、風ヶ丘図書館で死体が発見された。閉館後に侵入した大学生が、山田風太郎の『人間臨終図巻』で撲殺されたらしい。しかも現場には一冊の本と謎のメッセージが残されていた。警察に頼まれ独自の捜査…

純平、考え直せ  (ねこ3.8匹)

奥田英朗著。光文社。 坂本純平、21歳。新宿・歌舞伎町のチンピラにして人気者。心酔する気風のいい兄貴分の命令は何でも聞くし、しゃべり方の真似もする。女は苦手だが、困っている人はほうっておけない。そんな純平が組長から受けた指令、それは鉄砲玉(暗…

dele  (ねこ3.9匹)

本多孝好著。角川書店。 『dele.LIFE』の仕事は、誰かが死んだときに始まる。死後、誰にも見られたくないデータを、その人に代わってデジタルデバイスから削除する―それが、この会社の仕事だ。新入りの真柴祐太郎が足を使って裏を取り、所長の坂上圭司がデー…

朝が来る  (ねこ4匹)

辻村深月著。文春文庫。 長く辛い不妊治療の末、特別養子縁組という手段を選んだ栗原清和・佐都子夫婦は民間団体の仲介で男子を授かる。朝斗と名づけた我が子はやがて幼稚園に通うまでに成長し、家族は平仮な日々を過ごしていた。そんなある日、夫妻のもとに…

一九八四年/Nineteen Eighty-Four  (ねこ4.5匹)

ジョージ・オーウェル著。高橋和久訳。ハヤカワ文庫。 “ビッグ・ブラザー”率いる党が支配する全体主義的近未来。ウィンストン・スミスは真理省記録局に勤務する党員で、歴史の改竄が仕事だった。彼は、完璧な屈従を強いる体制に以前より不満を抱いていた。あ…