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地下街の雨  (ねこ3匹)

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麻子は同じ職場で働いていた男と婚約をした。しかし挙式二週間前に突如破談になった。麻子は会社を辞め、ウエイトレスとして再び勤めはじめた。その店に「あの女」がやって来た…。この表題作「地下街の雨」はじめ「決して見えない」「ムクロバラ」「さよなら、キリハラさん」など七つの短篇。どの作品も都会の片隅で夢を信じて生きる人たちを描く、愛と幻想のストーリー。 (裏表紙引用)

 


宮部さんのむか~しの短篇集。ン~、表題作以外は正直イマイチだったかなあ。。

 

「地下街の雨」
1年半前、恋人に婚約破棄された麻子。その後地下街にある喫茶店のウエイトレスを始めるが、常連の女性の身の上話を聞いて親近感を持ち始める――。なるほど、見事な反転。常連客の変わり身にドン引きしていたから良かった。地下街の雨を裏切られた気分に例えるのがうまいな。外に出て初めて雨に気づくってところが。

 

「誰にも見えない」
新婚の悦郎が深夜にタクシーを待っていたら感じのいい男に話しかけられて――。怪談ですな。赤い糸ならぬ黒い糸があるなら幸せな人のところには来ないで欲しいな。

 

「不文律」
一家四人心中事件。関係者の証言だけで進む話。なぜだろう、こういうのって子どもの無邪気な証言が1番怖い気がするのは。それにしても、父親は給料配達人とか家族に人質に取られてるとか、考えが古くて笑う。

 

「混線」
いたずら電話を繰り返す男には制裁を。そういえば、昔はこういう犯罪あったよね。いちいち出なきゃいいじゃない、って思うけどな(^_^;。~~に吸い込まれるって陳腐だけど、絵ヅラを想像したらかなりグロいはず。

 

「勝ち逃げ」
亡くなった元教師の真面目で怖かった伯母に、若い頃ロマンスがあった――。そりゃそうでしょ、って思う。身内に見せてる姿だけがその人の全てのわけない。これは誰がその相手か分からないから面白い。

 

「ムクロバラ」
凄い名前だな。。正当防衛で人殺しとなった男が精神的に病んでしまった。部長刑事(デカ長)の身に降りかかった感情とは――。誰にでも「魔」の瞬間は訪れるという話かな。

 

「さよなら、キリハラさん」
一家全員の耳が聞こえなくなる話。ちょっとSFっぽいんだけどちゃんとネタバラシがある。あんまこういうジャンル好きじゃないんだけど、家族にとって存在感のない祖母って絆や何かを気づかせるための象徴なんだなと思った。


以上。まあ宮部さんだからどれもまとまってて水準の面白さはもちろんあるのだけど、私としてはもっと人の情とかにしんみりしたかったかなと。古いからこそそれがあると思ったのだけど、単に古いだけだった。。