すべてが猫になる

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森に眠る魚  (ねこ4匹)

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東京の文教地区の町で出会った5人の母親。育児を通して心をかよわせるが、いつしかその関係性は変容していた。―あの人たちと離れればいい。なぜ私を置いてゆくの。そうだ、終わらせなきゃ。心の声は幾重にもせめぎ合い、それぞれが追いつめられてゆく。凄みある筆致で描きだした、現代に生きる母親たちの深い孤独と痛み。渾身の長編母子小説。 (裏表紙引用)

 


なんだかアメトーク本が続く^^;。角田さん3冊目。

 

最近なぜかママ友小説によく当たるようになった気がするが、その中でもこの作品が1番女性心理を丁寧にリアルに描いていると思った。というのは、この小説に出てくるママたち5人とも、元々はどこにでもいる普通のお嬢さん。それが結婚し、子どもを生み、ママ友が出来て、それぞれ人生の階段を登るごとに変わっていく。今まで知らなかった自分自身の醜い部分が明らかになる。やはりいきなりヘンな奴になったりする人なんてなかなか居ないってことで、なんのグループだって、嫁姑だって、最初から「よし、いがみ合うぞ!」なんて誰も思っちゃいないんだよね。それぞれに段階があるんだ。そこをきちんと描いてくれているのが良かったなあ。誰でもこうなる可能性があるってこと。

 

とは言え、子どもを預かって放置したりケガをさせたりする繭子、ママ友に依存して夜中に電話をかけまくる容子、不倫がやめられないかおりなどなど、やっていることのおかしさもさることながら、そこまで他人の子どもと張り合って何がしたいんだろうと思わなくもなかった。子どものためと言いながら全部自分のためにしか見えなかったし。結局自分というものがないからこうなるんだなと。だけど、そんな自分をちょっとずつ自覚していって、悩んで悩んで。思えば、女はいつも「ここから抜け出したい」の呪縛から離れられない生き物なのかもしれない。今いる場所が息苦しくて、やっと憧れの場所へ逃げ出せたと思ったらまたそこでも同じような息苦しさに翻弄される。それがずっと繰り返される。そりゃたくましくならなきゃやってられないよね。