すべてが猫になる

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dele  (ねこ3.9匹)

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『dele.LIFE』の仕事は、誰かが死んだときに始まる。死後、誰にも見られたくないデータを、その人に代わってデジタルデバイスから削除する―それが、この会社の仕事だ。新入りの真柴祐太郎が足を使って裏を取り、所長の坂上圭司がデータを削除する。淡々と依頼を遂行する圭司のスタンスに対し、祐太郎はどこか疑問を感じていた。詐欺の証拠、異性の写真、隠し金―。依頼人の秘密のファイルを覗いてしまった二人は、次々と事件に巻き込まれる。この世を去る者が消したかった“記録”と、遺された者が抱く“記憶”。秘められた謎と真相、そして込められた想いとは。“生”と“死”、“記憶”と“記録”をめぐる連作ミステリ。 (裏表紙引用)

 



ひっさびさに本多さんを。ドラマ原作ということで、なんか私の周りのガールズみんな読んでいるので(←ミーハー)。ドラマでは所長の圭司を山田孝之、祐太郎を菅田将暉が演じているもよう。ピ、ピッタリ…。圭司は佐藤隆太(反論あるでしょうねすいません)、祐太郎は桐山健太(こっちはないでしょ?)でもいい気がするな~。


圭司が所長を務める「dele.LIFE」では、依頼人の死後誰にも見られたくないデータをその人に代わって削除することができる。所員の祐太郎はその顧客が本当に亡くなったのかを足で確認するのが主な仕事。同じビルには圭司の姉が所長として弁護士事務所を開いている。

 

とにかくこの圭司と祐太郎のコンビがいい。圭司はどういう事情なのか車椅子に乗っていて、仕事に真摯だがドライ。祐太郎はちょっとワルっぽいが熱血で、依頼人やその家族についつい同情してしまうキャラ。まあ、祐太郎はちょっと物事を都合のいい男性目線で捉えすぎるきらいがあってそこはあまり好きではなかったけど。

 

最初、パソコンやスマホにある秘密の個人データを見ず知らずの人間に削除依頼するなんてことあるかあ?と思ってしまった。私だったら絶対その会社の人間を信頼できないなあ。しかし依頼人がデータは死後勝手に消滅すると思い込んでいると知ってああなるほど、と腑に落ちた。いや、自分が依頼する場合削除までの流れを絶対問い詰めるけどね。このお話に出てくる顧客それぞれの、データを一度見てみたいと思う状況も割と分からんでもないというか。どのお話の依頼人も、犯罪者であったり浮気をしていたりと褒められた人間ではないところも物語に生きていてのめり込めた。刺殺されて河川敷に捨てられていたり、通夜にやってきた女性が独身のはずの依頼人の妻だと告白したり、癌で余命幾ばくもない依頼人の夫が事務所に乗り込んできたり。血の繋がりだけじゃない、人と人との繋がりや絆を誰からも感じられる。でもやり方が皆違うのよね。

 

一番好きだったのは母親の娘への思いが泣かせる「ドールズ・ドリーム」と息子のために身を犠牲にする父の関係が切ない「ロスト・メモリーズ」かな。