すべてが猫になる

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アミダサマ  (ねこ3.6匹)

 

幼子の名はミハル。産廃処理場に放置された冷蔵庫から発見された、物言わぬ美少女。彼女が寺に身を寄せるようになってから、集落には凶事が発生し、邪気に蝕まれていく。猫の死。そして愛する母の死。冥界に旅立つ者を引き止めるため、ミハルは祈る。「アミダサマ!」――。その夜、愛し愛された者が少女に導かれ、交錯する。恐怖と感動が一度に押し寄せる、ホラーサスペンスの傑作。


う~。あ~。む~。

 

びみょー・・・?

 

こないだ覚えたばかりの「イヤミス」。その道を突っ走り続ける沼田まほかる。遍歴を見てびっくり。
主婦→僧侶→会社経営→作家だって。僧侶にめちゃべっくらしたけど、この作品を読むとなるほど納得。ご自身の得意分野だから筆が乗っているのがわかる。世界観づくりはバッチリだね。

 

まあそして、動物が惨殺されるのも、妊婦や高齢者に暴力を振るう男が出て来るのも、狂った老婆と少女の腐った父親の性交シーンがあるのも、イヤミスと分かってて取り掛かった立場だから覚悟は出来ていた。不快指数は相変わらず高いな。何回不快になっただろう。数えたら10回は越えるんじゃないかい。
そもそも、この人分かってて描いてるだろうしな。なにかしら信念があって、小説世界のなにかを打ち破りたいんじゃないかな。たとえば、価値観みたいなもの。物語の力。共感だけが全てじゃないし、万人受けするものが良いものとは限らないからね。それは「わかる人にだけわかればいい」なんていう低いハードルじゃないと思うんだ。


それはそれとして、どうもスッキリしない。老婆の変貌とキレっぷりといい、暴力男や父親たちのどん底っぷりといい、不快になり切れない優しさがあるんだよな。それの何が悪いって何も悪くないけど。主人公が僧侶のオジサンっていうのが堅くて肌に合わなかったし、後半に進むにつれ勢いが減って行った気がする。あと、紹介文に「傑作」「感動」の文字を入れるのを禁止にする法律出来て欲しい。