すべてが猫になる

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パーフェクト・ブルー  (ねこ3.8匹)

 

高校野球界のスーパースターが全身にガソリンをかけられ、焼き殺されるというショッキングな事件が起こった。俺――警察犬のマサは、現在の飼い主、蓮見探偵事務所の調査員、加代子と共に落ちこぼれの少年、諸岡進也を探し当て、自宅に連れ帰る途中、その現場に遭遇する。犬の一人称という斬新なスタイルで、社会的なテーマを描く、爽快な読後感の長編デビュー作、怒涛の文庫版。


デビュー作だったのか。。。そう考えるとやっぱり一つ抜きん出ているなという印象。

 

正直、犬が語り手というのも今の自分が読んだらそれほど衝撃でもないし、題材が高校野球で兄と弟という設定も東野氏の「魔球」と重なり合った。今の宮部氏に比べると読みづらい気もするし。。と取っ掛かり部分はあまり調子のいいスタートではなかったのだけど。

 

高校生が被害者の事件ということと、犬が語るという一見ほんわかした雰囲気に騙されたと言ってもいい。殺人にまで至る点については疑問符が取れないが、実態が大規模で当事者にはかなりシビアな真相なため、読んでいて少々ショックを受けた。世間って残酷だからなあ。。自分でもこういう人が居たら同じように思う気がする。

 

まあしかし、でもやっぱり、犬が語り手であるのは読み物の面白さやチャレンジ精神という点で認めざるを得ないとして、事件の捜査や解決手段、真相解明の鍵として犬というところが生きていたとは言い難いかな。救出劇もありきたりで想像の範疇だったし警察が関与していた以上彼が出て来なくてもなんとかなったと思われるし。あ、いや、文句ばっかりみたいだけど、登場人物も登場犬も書き分けられていたし嫌いな人は居なかったしトータル的には面白かったのよ。