すべてが猫になる

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猫の手/Cat's Paw  (ねこ3.8匹)

ロジャー・スカーレット著。新樹社。

 

年老いた、子のない大富豪の豪邸。彼の誕生日に集まった肉親たち。その夜起こる殺人事件。複雑な謎が絡みあう事件の手がかりはどこに? 江戸川乱歩も愛した作家による、本格派ミステリー。

 

エラリー・クイーンのライヴァルたち>シリーズ。
ロジャー・スカーレット面白いね~。一番有名な「エンジェル家の殺人」のほうはそんなに評価高くない気がするけどどうなんでしょ。

 

さてさて、本書は典型的すぎるほど典型的な、館もの、遺産相続ものの本格探偵小説。この系統は登場人物たち(被害者、容疑者ともに)に個性と面白さがあるかないかで全然のめり込み方が違ってくるのだけど、本書は文句なし。面白いところを増やしすぎて、事件発生から探偵登場までに半分以上費やしてしまっているのが難と言えば難だけど。読者からすれば、「え、今さっき死んだのにもう読者への挑戦なの!?」という感じ。しかも全部の手がかりを晒されていない。おーいしっかりしろー^^;

 

ちょっと性格のよろしくない富豪と、彼の誕生日パーティーのために集まった甥たち。彼らは富豪のお金に頼りきってしまっていて、お金がなくなるとお金を貰うサイクルを続けている状態。オイオイ、働けよ。と思うが、このオジサンにも色々策略があって、彼らも身動きが出来ない状態ではある。それぞれ個性的な性格をしているだけに、彼らの妻や妹、婚約者など女性陣の存在もなかなか。万引き癖があったり、元身内の恋人を婚約者として連れて来たり、かなりの荒れ模様。

 

そのくせ、探偵と助手が全然個性がないのが不満だわ。いや、凄い頭脳というだけで充分個性的なんだけど。もう名前も忘れた。解決はまず始めに「間違った真相」を故意に提示してから真の真相を明かすスタイルで、最後だけやたらとドタバタ。最初の真相が真相だったらどうしよう^^;と思っていたので、ホッとしたのもあり。まあ、そんなこんなはあるけれどなかなか私好みの作品でありました。