すべてが猫になる

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ifの悲劇  (ねこ3.7匹)

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浦賀和宏著。角川文庫。

 

小説家の加納は、愛する妹の自殺に疑惑を感じていた。やがて妹の婚約者だった奥津の浮気が原因だと突き止め、奥津を呼び出して殺害。しかし偽装工作を終え戻る途中、加納の運転する車の目の前に男性が現れて…。ここから物語はふたつに分岐していく。A.男性を轢き殺してしまった場合、B.間一髪、男性を轢かずに済んだ場合。ふたつのパラレルワールドが鮮やかにひとつに結びつくとき、予測不能な衝撃の真実が明らかになる! (裏表紙引用)

 

 

浦賀さんの文庫新刊~。う、薄い・・。

 

現実をそのまま作品化した妹萌えライトノベル(なんだそりゃ)で人気を博した主人公の加納。両親のいない加納は、いつしか実の妹と愛し合うようになっていた。しかしその妹が婚約の果てに会社の屋上から飛び降り自殺。妹の婚約者・奥津はすぐに別の女性と婚約する。奥津が許せない加納はある行動を起こすが――。というお話。う~んなかなかにドロドロ。

 

今回浦賀氏はパラレルワールドを駆使して読者を騙すという新たな挑戦をしている。加納が奥津を殺害した後に、自分の姿を見られてしまった末その目撃者を轢死させて死体を隠滅しようとするAの章と、目撃者を轢かずに済むがその目撃者に加納が脅迫されてしまうというBの章が交互に展開される構成。「たられば」の典型だが、どちらに進んでも加納にとって悲劇なのかと思わせるところが緊迫感満載だった。加納はどうも自分にとって都合のいい解釈をするきらいがあり、その分意にそぐわない真相を受け入れられないところがあるな。自業自得の面も。

 

あっと言う間に読めた割に、ミステリ的な仕掛けが複雑。だからってこそげ落とした印象はないが、よく凝ってあるなあと感心ばかり。前作がなかなかのドン引き作品だったからどうなるかなと思ったが、相変わらずの"妹萌え””○○姦"要素が健在でな、なにより(^_^;。