すべてが猫になる

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殺人は展示する/Murder is a Must  (ねこ3.6匹)

マーティ・ウィンゲイト著。藤井美佐子訳。創元推理文庫

わたしはイングランドのバースにある、初版本協会のキュレーター。アガサ・クリスティなどのミステリの初版本を収める図書館をもつ協会の知名度を向上させるため、講演会の企画をついにスタートさせる。それと並行して、協会創設者の生涯がテーマの展覧会の準備に奮闘していると、事件が起きて……。原因はセイヤーズの『殺人は広告する』の最高に貴重な一冊に? 本を愛する人々に贈る、〈初版本図書館の事件簿〉シリーズ第2弾!(裏表紙引用)
 
初版本協会キュレーター、ヘイリー・バークシリーズ第2弾。
 
前作にあまりいい印象を持たず、ミステリーを1冊も読んだことがないのにこの職業に就いたヘイリー(今作で多少改善されているが)にも魅力を感じなかったくせにまた読んでしまった。お互いバツイチ子持ち同士で恋人関係になったヴァルとのイチャイチャが内容の三分の一を占めており、ヘイリーの探偵能力もまったく振るわない。推理らしい推理がなく、ピンチらしいピンチだけは申し訳程度にあり、犯人があっさり他人の手柄で見つかるもその犯人に意外性がないという相変わらずの出来。
 
まあしかし、ヴァルの子どもといよいよ初対面を果たすことになり、思ったほどうまくいかないあたりは先が気になったかな。こういう複雑な人間関係を自ら選び取って、なおかつ誰にとってもいい状況を願う人っているけど、人には心があるからね。わざわざ踏まなくてもいい地雷を踏みに行かんでも。。と思う。
あとは、どことなく他力本願だったヘイリー(私にはそう見える)が意外にもみんなに頼りにされていたくだりはちょっと感動したかな。事務局長ウルガーとの距離が縮まってホっとした。これってやっぱり、自分だけはオタクではないという劣等感からくるものなのかなー、と思ったりして。
 
う~ん、まあそのあたりは読めるけど、ミステリーとしてはかなり弱く刺激もないので今度こそここまでかな。先日読んだ保健師イモージェンシリーズの方がいいね。これならセイヤーズの「殺人は広告する」のほう読みたい(創元社が同時新訳刊行してくれてたらセンスあるのに)。。