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冬期限定ボンボンショコラ事件  (ねこ4匹)

米澤穂信著。創元推理文庫

小市民を志す小鳩君はある日轢き逃げに遭い、病院に搬送された。目を覚ました彼は、朦朧としながら自分が右足の骨を折っていることを聞かされる。翌日、手術後に警察の聴取を受け、昏々と眠る小鳩君の枕元には、同じく小市民を志す小佐内さんからの「犯人をゆるさない」というメッセージが残されていた。小佐内さんは、どうやら犯人捜しをしているらしい……。冬の巻ついに刊行。(裏表紙引用)
 
小市民シリーズ、ついに完結。
 
今回は小鳩くんがひき逃げされ重傷を負い、入院治療しながらの探偵活動となる。出だし、小鳩くんが堤防から小佐内さんを突き落とすシーンで始まるのでビックリした。そういうことだったのね。というわけで安楽椅子探偵ならぬ安楽ベッド探偵?が誕生したわけだが、、小佐内さんとはなぜかすれ違いばかりで、お見舞いカードとお見舞いのボンボンショコラだけが唯一の連絡手段(一方的な)。加えて中学時代の、小鳩くんがやらかした大失敗を回想していくことに。うーん、青い。青いなあ。
 
ミステリー的にはいまひとつなのは残念だし、小佐内さんと小鳩くんの現在の絡み、会話がほとんどないのでそれが物足りない。小鳩くん自身の掘り下げにはなったと思うけども。2人のなれそめが分かったのはスッキリかな。一応これでシリーズは終了だけども、2人のこれからが明るいものになりそうだな、と想像できるから良かったな。イマドキの、「恋愛関係にならない男女コンビ(10代)」の走りとなった作品だと思うので、これでいいんだと思う。まあでも、この2人恋愛関係だよねえ。野暮かな。