すべてが猫になる

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熊と踊れ/BJОRNDANSEN  (ねこ3.7匹)

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アンデシュ・ルースルンド&ステファン・トゥンベリ著。ヘレンハルメ美穂・羽根由訳。ハヤカワ文庫。

 

凶暴な父によって崩壊した家庭で育ったレオ、フェリックス、ヴィンセント三人兄弟。独立した彼らは、軍の倉庫からひそかに大量の銃器を入手する。その目的とは史上例のない銀行強盗計画を決行することだった―。連続する容赦無い襲撃。市警のブロンクス警部は、事件解決に執念を燃やすが…。はたして勝つのは兄弟か、警察か。スウェーデンを震撼させた実際の事件をモデルにした迫真の傑作。最高熱度の北欧ミステリ。(上巻裏表紙引用)

 

 

このミス1位で話題となっていた作品に挑戦。タイトルはシンプルだが名前長いな。コピペしたわ。原題のままなのかな?字面でなんとなくの想像。

 

父親の過剰な暴力で支配されて育った3兄弟(レオ、フェリックス、ヴィンセント)が長じて父親と決別し、幼馴染のヤスペルを巻き込んで銀行強盗を始めるというお話。初めは順調だったが、やがてレオは父親と連絡を取ったり兄弟同士で衝突があったりとどんどん問題が広がっていく。物語は過去と現在が交互に語られ、兄弟の心の闇がどうやって形成されたかが明らかになっていく。

 

文章が非常に平易で読みやすいし、題材も刺激的だしもちろんとても面白いのだが、私にはあまり合わない部分もあった。確認しなかった自分が悪いのだが、銀行強盗ものはジャンル問わず好きではないのだ。なのでどちらかというと彼らを追うヨン警部の視点のほうが読みやすかった気がする。

 

暴力シーンは当然辛いし、その父親の性癖を受け継いだかのように見える長男のレオには全く相通じるものがなかった。正論派のフェリックスや末っ子気質のヴィンセントはまだ共感するものがあったが、レオの恋人アンネリーなんてイライラする女の代表みたいなキャラだったもんなー。悪いことは言わん、犯罪者だからとかじゃなくレオはやめとけ。ヤスペルなんてあれだけ深く関わっていながら最後まで他人扱いひでえ。

 

終始哀れで悲しい物語なので痛快とも言えないし警察との攻防が前面に出ているわけでもないのでちょっと想像していたような、自分が読みたいものではなかった。自分以外の人にはとても面白い作品なのだと思うのであしからず。