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静かな炎天  (ねこ3.8匹)

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若竹七海著。文春文庫。

 

ひき逃げで息子に重傷を負わせた男の素行調査。疎遠になっている従妹の消息。依頼が順調に解決する真夏の日。晶はある疑問を抱く(「静かな炎天」)。イブのイベントの目玉である初版サイン本を入手するため、翻弄される晶の過酷な一日(「聖夜プラス1」)。タフで不運な女探偵・葉村晶の魅力満載の短編集。(裏表紙引用)

 

 

・バスとダンプカーの衝突事故を目撃した晶は、事故で死んだ女性の母から娘のバッグがなくなっているという相談を受ける。晶は現場から立ち去った女の存在を思い出す…「青い影~7月~」

 

・かつて息子をひき逃げで重傷を負わせた男の素行調査。疎遠になっている従妹の消息。晶に持ち込まれる依頼が順調に解決する真夏の日。晶はある疑問を抱く…「静かな炎天~8月~」

 

・35年前、熱海で行方不明になった作家・設楽創。その失踪の謎を特集したいという編集者から依頼を受けた晶は失踪直前の日記に頻繁に登場する5人の名前を渡される。…「熱海ブライトン・ロック~9月~」

 

・元同僚の村木から突然電話がかかってきた。星野という女性について調べろという。星野は殺されており、容疑者と目される男が村木の入院する病院にたてこもっていた。…「副島さんは言っている~10月~」

 

・ハードボイルド作家・角田港大の戸籍抄本を使っていた男がアパートの火事で死んだ。いったいこの男は何者なのか?…「血の凶作~11月~」

 

・クリスマスイブのオークション・イベントの目玉になる『深夜プラス1』初版サイン本を入手するため、翻弄される晶の過酷な一日を描く「聖夜プラス1~12月~」。


葉村晶シリーズで短編集て初めてなのかな?噂に聞いていた、晶さん四十肩に苦しむの巻。そんなに痛いのね。。食事に気をつけていても適度な運動をしていても、なる時はなるんだなあと恐怖を感じる同年代のわたし。そんな相変わらず満身創痍キャラの晶さんが古本屋の店長・富山やセレブなオバさまなどなどいろんな人にこき使われるという^^;風邪まで引いちゃってるからね。お人好しのイメージはなかったけど、責任感が強いというか損するタイプというか。変わってなくて愛しい。

 

それぞれのお話のレベルはどれも高く、ほっこり終わるのかと思いきやまさかのとんでもない裏切りに驚く「青い影」やハードボイルド作家のキャラクターだけで笑える「血の凶作」、サイン本にまつわる罠やひったくり犯の動機に感心した「聖夜プラス1」が特に好き。「静かな炎天」は善人の罪を表現しているのが若竹作品らしい。ああいやいや「副島さん~」の立てこもり犯との攻防も独特だったし思い返すと「捨て話」がないな。