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ムカシ×ムカシ  (ねこ3.7匹)

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森博嗣著。講談社文庫。

 

東京近郊に広大な敷地をもつ百目鬼家は大正期の女流作家、百目一葉を世に出した旧家。その息子夫妻が屋敷内で刺殺され、遺品の製理と鑑定を請け負ったSYアート&リサーチの小川と真鍋、アルバイトの永田は新たな殺人に遭遇する。古い河童の絵と謎めいた文の意味するものは。Xシリーズ、待望の第四弾! (裏表紙引用)

 

 

×シリーズ第4弾。第3弾を読んだのがもう9、10年前なのにビックリ。誰が主人公なのか分からないレベルだったので再読したほうがいいのかもしれないが、記事とウィキで予習をするはめになった。そうか、椙田はあのシリーズの○○○なのか。。一連の森シリーズとどう繋がっているのか疑問だったけどなるほどそういうことか。ちなみに萌絵は今回出てこない。

 

いつものごとく事件そのものは全く重要ではない。井戸に落とされていたり、死体の頭の上にお皿が乗せられていたりと不可解な殺人ばかり起きているというのに判明するのは犯人と動機らしきもののみ。動機を考察する時点で森作品には革命的ですらあるのだが、犯行方法や河童の謎などなど全くスルー。森作品に慣れていなければ「ミステリとして駄作」かもね。

 

個人的にはアルバイトの永田さんがツボ。男の部屋に遊びに来るのに全くその気がないのかあるのか分からないところも「DVDを観ている間話しかけないでね」などとのたまうところも。常識的な言葉を知らなかったりするところもミステリアスだな。まあ森さんが描くと男女のありふれた駆け引きのシーンでも意味ありげで印象深い、言葉遊びの空間になる。