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リバース  (ねこ3.8匹)

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湊かなえ著。講談社文庫。

 

深瀬和久は平凡なサラリーマン。自宅の近所にある“クローバー・コーヒー”に通うことが唯一の楽しみだ。そんな穏やかな生活が、越智美穂子との出会いにより華やぎ始める。ある日、彼女のもとへ『深瀬和久は人殺しだ』と書かれた告発文が届く。深瀬は懊悩する。遂にあのことを打ち明ける時がきたのか―と。 (裏表紙引用)

 

 

湊さんの文庫新刊。

 

先がどんどん気になって一気読み。事務機会社の営業職である深瀬が、過去に大学の友人たちと経験した不幸な事故を告白する物語。恋人が出来慎ましく暮らしている深瀬のもとに届いた告発文。恋人・美穂子の職場にそれが届けられたために二人の関係は破綻する。告発文を送ったのは誰なのか、深瀬は事故に関わった友人や関係者を訪ね、亡くなった親友・広沢の人となりを知っていく。

 

「こいつ怪しいな」「こいつだろうな」と何度も思わせて全部外れていた^^;もちろん本書のキモは最終ページのサプライズだと思うが(これは予想がついていたが原因そのものには思い至らなかったので十分驚いた)、真相に至るまでの深瀬の心理描写が丁寧でうまいので終始ドキドキして読める。だがズケズケと本人にモノを言う人間が多すぎるのには違和感。日本人の遠慮どこ行った。湊さんが男性を語り手にするのは初めてらしいが、男にもこういうマウンティングってあるのね。現実にはどうだろう。他にも、深瀬の友人連中が飲酒運転を容認したり、酒が飲めない人間を糾弾したりと不愉快な面はある。旅行は人間の本性が出るためケンカをしやすいと聞くが、モラルのない人間が集まるとケンカどころかとんでもない結果になることもあるんだな。


私の敬愛する藤原竜也主演ということで、ドラマ開始前に読みたかったのでありがたい。地味で叫ばない役は珍しいと話題になっているが、真面目で秀才だが細かいことに懊悩する深瀬は竜也にピッタリ合っていると思う。ガタイがデカくスポーツ万能の広沢が小池徹平というのだけ不安だが。この人も意外と外見通りの「爽やかでいい人」を演るよりはクセのある役のほうがはまる役者さんだと思っているんだけど。まあ原作に忠実であればいいというわけでもないしね。期待しておこう。