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ひとり吹奏楽部 -ハルチカ番外篇  (ねこ3.8匹)

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初野晴著。角川文庫。

 

マレンと成島の夢は、穂村と上条の夢を叶えることだ―。部を引退した片桐元部長から告げられ、来年のコンクールへの決意を新たにする芹澤直子。ギクシャクした関係を続けるカイユと後藤朱里。部の垣根を越えてある事件を解決するマレンと名越。そして部のまとめ役の成島美代子…。清水南高校吹奏楽部に運命的に集まった個性的なメンバー。その知られざる青春と日常の謎を描く、大人気シリーズ書き下ろし番外篇! (裏表紙引用)

 


ハルチカシリーズのスピンオフ集が文庫で書き下ろし登場。脇役キャラにスポットを当てたもので、中にはまあ覚えていないキャラもいたりいなかったり^^;どのキャラも主人公に据えられる個性があるのが流石な感じ。

 

「ポチ犯科帳 -檜山界雄×後藤朱里」
朱里の弟が拾ったコーギーを飼ってくれないかと頼まれたカイユ。カイユは知人の愛犬家のおばさんに打診しようと、朱里とコーギーを連れておばさんの家を訪ねる――。おばさんの息子のエピソードと、おばさん自身の問題、そしてコーギーを飼ってもらえるかという様々な話が混ざり合っている。収録作の中で一番ミステリしていた話かな。それにしても犬の能力恐るべし。

 

「風変わりな再会の集い -芹澤直子×片桐圭介」
駄菓子屋でおでんを買った芹澤は、一万円札しか持っていなかった。店番のお婆ちゃんはその札を受け取るとそのまま帰って来なくなり――。圭介と芹澤さんとの、吹奏楽部の悩みや考えなど有意義な会話がメインと言ってもいいかも。お婆ちゃんが帰って来なかった理由に納得。

 

「掌編 穂村千夏は戯曲の没ネタを回収する」
「退出ゲーム」の没原稿だそうだ。く、くだらない^^;ハルチカのコメディ要素が全面に出ていて「らしい」作品だけども。

 

「巡るピクトグラム -マレン・セイ×名越俊也」
名越のやっているアルバイト、「逆上がり指導」に参加するハメになったマレンだが、尊敬している名越の邪な企みの噂を聞き――。そういえばこういうネタ、旧作にあったな。想像するだけで大変そうな作業だが、知らない人多いかもね。適材適所という言葉が浮かんだが、実際現実でもこういうことがあればいいな。

 

「ひとり吹奏楽部 -成島美代子×???-」
吹奏楽でも孤独とされるパート、オーボエ。自身の将来と現在に思い悩む今、OGの深い言葉に感銘を受けた成島さんだが――。シンカー、ビリーバー、などとグループに必要な5人をタイプ分けしているのが興味深かった。自分なら「ファイター」と「ビリーバー」の中間だろうか。消去法でそれしか残らなかったってだけだけど。


以上。ミステリを楽しむというより、キャラクターと物語の要素が強い感じ。どちらも最強だったのがシリーズの強みだった気がするので、最近落ち着き初めて来たかなあ。それでも一定以上の水準はあるのだけどね。