すべてが猫になる

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旧談  (ねこ3.7匹)

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京極夏彦著。角川文庫。

 

雨が降りしきる夜道でうずくまる女に遭遇した、実直な武士のUさん。20年便所から出てこなかった商家のIさん。酒好きのMさんと一人娘を心配して狐に相談した女房の幽霊。猫になったYさんの母親。さらには、「稲生物怪録」や「播州皿屋敷」にまつわる裏話など、江戸時代の旗本・根岸鎭衞が聞き集めた随筆集『耳嚢』から怪しい話や奇妙な話を選び、京極夏彦が現代の怪談実話スタイルに書き改める。新しく書かれた“旧い”怪談集。(裏表紙引用)

 


あら?これ、現代怪談シリーズとは違うの?

 

本書は随筆集「耳囊」を京極さんが現代風にリライトした怪談集ということで、わずか数ページの物語が35篇収められている。耳囊の原文も載っていて(さすがに読めない)、まあサクサク読めるのはいいが登場人物がAさんとかBさんとかなのは非常に読みづらかった。。。自分だけかもしれないが、イニシャルだと実話風であるにも関わらず怖さが半減するというか。

 

まあしかしそれぞれのお話はどれも適度に怖く、怪談にはやはり文章が大きく左右するんだなあと実感。うずくまる女や20年前に失踪した旦那が当時のままの姿で帰ってくるなどゾクっとするお話ばかり。怪異の正体がどれもハッキリしないのも効果的。

 

でも現代怪談シリーズが読みたかった。。。