すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

2017-01-01から1年間の記事一覧

アルファベット・ハウス/Alfabethuset  (ねこ3.5匹)

ユッシ・エーズラ・オールスン著。鈴木恵訳。ハヤカワ文庫。 第二次世界大戦末期。英国軍パイロットのブライアンとジェイムズはドイツ上空で撃墜される。かろうじて生き延びたものの、ここは敵国の只中。追手から逃れるべく傷病者を搬送する病院列車に潜入し…

みんなのふこう~葉崎は今夜も眠れない  (ねこ3.7匹)

若竹七海著。ポプラ文庫ピュアフル。 葉崎FMで放送される「みんなの不幸」は、リスナーの赤裸々な不幸自慢が人気のコーナー。そこに届いた一通の投書。「聞いてください、わたしの友だち、こんなにも不幸なんです…」。海辺の田舎町・葉崎市を舞台に、疫病神…

スタープレイヤー  (ねこ3.5匹)

恒川光太郎著。角川文庫。 路上のくじ引きで一等賞を当てた斉藤夕月。異世界に飛ばされ、10の願いを叶えられる「スタープレイヤー」に選ばれたと聞かされる。その使い道を考えるうちに目の当たりにするのは、自らの暗い欲望、人の抱える業の深さ、祈りの尊さ…

バッタを倒しにアフリカへ  (ねこ4.2匹)

前野ウルド浩太郎著。光文社新書。 ◎バッタ被害を食い止めるため、 バッタ博士は単身、モーリタニアへと旅立った。 それが、修羅への道とも知らずに……。 ◎『孤独なバッタが群れるとき』の著者が贈る科学冒険ノンフィクション! 【本文より】 バッタの群れは海…

骨の島/Good Blood  (ねこ3.7匹)

アーロン・エルキンズ著。青木久惠訳。ハヤカワ文庫。 イタリア貴族の当主ドメニコは姪に信じがたい言葉をかけた。「私の子を産んでほしい」と。時は流れ、産まれた子は、実業家として財を増やそうとする。だがその矢先、一族の人間が誘拐され、さらに前当主…

下町ロケット  (ねこ4.5匹)

池井戸潤著。小学館文庫。 研究者の道をあきらめ、家業の町工場・佃製作所を継いだ佃航平は、製品開発で業績を伸ばしていた。そんなある日、商売敵の大手メーカーから理不尽な特許侵害で訴えられる。圧倒的な形勢不利の中で取引先を失い、資金繰りに窮する佃…

アイネクライネナハトムジーク  (ねこ4.2匹)

伊坂幸太郎著。幻冬舎文庫。 妻に出て行かれたサラリーマン、声しか知らない相手に恋する美容師、元いじめっ子と再会してしまったOL…。人生は、いつも楽しいことばかりじゃない。でも、運転免許センターで、リビングで、駐輪場で、奇跡は起こる。情けなくも…

ハードラック  (ねこ3.6匹)

薬丸岳著。講談社文庫。 二五歳にもなって日雇い仕事する失い、「大きなことをするため」闇の掲示板で四人の仲間を募った仁は、軽井沢で起きた放火殺人の汚名を着せられてしまう。なぜおれを嵌めた?信じられるのは誰だ?手探りで真犯人を探す仁、闇世界の住人…

穢れの町/Foulsham  (ねこ4.8匹)

エドワード・ケアリー著。古屋美登里訳。東京創元社。 月桂樹の館で暮らす男の子ジェームズ。ある日館を逃げ出したジェームズは、フィルチングの町で、決して使うなと言われていた金貨でパンを買ってしまう。それがとんでもない事態を招くとも知らず……。物の…

謎の独立国家ソマリランド そして海賊国家プントランドと戦国南部ソマリア  (ねこ3.8匹)

高野秀行著。集英社文庫。 “崩壊国家ソマリア”の中で奇跡的に平和を達成しているという謎の独立国ソマリランド。そこは“北斗の拳”か“ONE PIECE”か。それとも地上の“ラピュタ”なのか。真相を確かめるべく著者は世界で最も危険なエリアに飛び込んだ。覚醒植物…

楽園  (ねこ4.4匹)

宮部みゆき著。文春文庫。 未曾有の連続誘拐殺人事件(「模倣犯」事件)から9年。取材者として肉薄した前畑滋子は、未だ事件のダメージから立ち直れずにいた。そこに舞い込んだ、女性からの奇妙な依頼。12歳で亡くした息子、等が“超能力”を有していたのか、真…

八月の降霊会  (ねこ2匹)

若竹七海著。角川文庫。 一通の手紙「降霊会のお知らせ」、すべてはそこから始まった。富士山麓の山荘に集められた一見何の接点もない人々。降霊会、それは単なる娯楽でしかないはずだった。しかし、霊媒師の口から出てきたのは、誰も知るはずのない招待客の…

風ヶ丘五十円玉祭りの謎  (ねこ4匹)

青崎有吾著。創元推理文庫。 夏祭りにやって来た、裏染天馬と袴田柚乃たち風ヶ丘高の面々。たこ焼き、かき氷、水ヨーヨー、どの屋台で買い物しても、お釣りが五十円玉ばかりだったのはなぜ?学食や教室、放課後や夏休みを舞台に、不思議に満ちた学園生活と裏…

死の天使ギルティネ/L'angelo  (ねこ3匹)

サンドローネ・ダツィエーリ著。清水由貴子訳。ハヤカワ文庫。 ローマに到着した急行列車。しかし先頭車両の乗客は、全員死亡していた。イスラム過激派から犯行声明が出されるが、犯人の足跡はたどれない。捜査の方向性をめぐって上層部と衝突した女性捜査官…

探偵が早すぎる  (ねこ3.8匹)

井上真偽著。講談社タイガ。 父の死により莫大な遺産を相続した女子高生の一華。その遺産を狙い、一族は彼女を事故に見せかけ殺害しようと試みる。一華が唯一信頼する使用人の橋田は、命を救うためにある人物を雇った。それは事件が起こる前にトリックを看破…

人生相談。  (ねこ3.5匹)

真梨幸子著。講談社文庫。 父が遺してくれた家に、見知らぬ家族が住み着いた。しかも我が物顔で。「居候の女性が出て行ってくれません」。悩める十六歳から大洋新聞の「よろず相談室」に届いた一通の人生相談。掲載された回答から導かれた予想外の悲劇とは。…

校閲ガール ア・ラ・モード  (ねこ3.7匹)

宮木あや子著。角川文庫。 出版社の校閲部で働く河野悦子。彼女の周りの人たちにもそれぞれ悩みや驚くべき過去が!他社から引き抜きオファーを受けたファッション誌編集者・森尾。彼氏に仕事を理解してもらえない、カタブツ文芸編集者の藤岩。文学賞落選で荒…

閉じられた棺/Closet Casket  (ねこ2.8匹)

ソフィー・ハナ著。山本博、遠藤靖子訳。ハヤカワ文庫。 招待先のアイルランドの荘厳な子爵邸で、ポアロと盟友キャッチプール刑事は再会を果たす。その夜、ディナーの席で、招待主である著名作家が全財産を余命わずかな秘書に遺すという不可解な発表をした。…

死命  (ねこ3.8匹)

薬丸岳著。文春文庫。 若くしてデイトレードで成功しながら、自身に秘められた女性への殺人衝動に悩む榊信一。ある日、余命僅かと宣告され、欲望に忠実に生きることを決意する。それは連続殺人の始まりだった。元恋人の澄乃との皮肉な再会。犯人逮捕に執念を…

御子柴くんの甘味と捜査  (ねこ3.7匹)

若竹七海著。中公文庫。 長野県警から警視庁捜査共助課へ出向した御子柴刑事。甘党の上司や同僚からなにかしらスイーツを要求されるが、日々起こる事件は、ビターなものばかり。上田市の山中で不審死体が発見されると身元を探り(「哀愁のくるみ餅事件」)、軽…

豆の上で眠る  (ねこ3.7匹)

湊かなえ著。新潮文庫。 小学校一年生の時、結衣子の二歳上の姉・万佑子が失踪した。スーパーに残された帽子、不審な白い車の目撃証言、そして変質者の噂。必死に捜す結衣子たちの前に、二年後、姉を名乗る見知らぬ少女が帰ってきた。喜ぶ家族の中で、しかし…

怪物はささやく/A Monster Calls  (ねこ3.7匹)

パトリック・ネス著。シヴォーン・ダウド原案。ジム・ケイ絵。池田真紀子訳。 真夜中過ぎ、墓地にそびえるイチイの大木の怪物がコナーのもとに現われて言う。「おまえに三つの物語を話して聞かせる。わたしが語り終えたら、おまえが四つめを話すのだ」母の病…

トオリヌケ キンシ  (ねこ4.6匹)

加納朋子著。文春文庫。 「トオリヌケ キンシ」の札をきっかけに小学生のおれとクラスメイトの女子に生まれた交流を描く表題作。ひきこもった部屋で俺が聞いた彼女の告白は「夢」なのだろうか?(「この出口の無い、閉ざされた部屋で」)。たとえ行き止まりの袋…

ナオミとカナコ  (ねこ4匹)

奥田英朗著。幻冬舎文庫。 望まない職場で憂鬱な日々を送るOLの直美は、あるとき、親友の加奈子が夫・達郎から酷い暴力を受けていることを知った。その顔にドス黒い痣を見た直美は義憤に駆られ、達郎を排除する完全犯罪を夢想し始める。「いっそ、二人で殺そ…

本棚探偵 最後の挨拶  (ねこ4.2匹)

喜国雅彦著。双葉文庫。 せっかく多くの古本を蒐めても、墓場までは持っていけない―そのことに気づいた著者が、厳選に厳選を重ね、トランク一つ分に本を詰めてみたり、私家版『暗黒館の殺人』の製作に着手したり、再び日下三蔵邸の本棚整理に行ってみたり…。…

特捜部Q ―吊された少女― /Den Granselose  (ねこ4.3匹)

ユッシ・エーズラ・オールスン著。吉田奈保子訳。ハヤカワ文庫。 コペンハーゲン警察の特捜部Qは未解決事件を専門とする部署だ。ある日ここに一本の電話が入った。けんもほろろに応対したカール・マーク警部補は翌日、電話をかけてきた老警官が、自分の退官…

江神二郎の洞察  (ねこ4匹)

有栖川有栖著。創元推理文庫。 英都大学に入学したばかりの一九八八年四月、すれ違いざまにぶつかって落ちた一冊―中井英夫『虚無への供物』。この本と、江神部長との出会いが僕、有栖川有栖の英都大学推理小説研究会(EMC)入部のきっかけだった。アリス最初の…

私に似た人  (ねこ3.7匹)

貫井徳郎著。朝日文庫。 小規模なテロが頻発するようになった日本。実行犯たちは実生活では接点がないものの、一様に、冷たい社会に抵抗する“レジスタント”と称していた。テロに関わらざるをえなくなった、それぞれの人物の心象と日常のドラマを精巧に描いた…

西巷説百物語  (ねこ4匹)

京極夏彦著。角川文庫。 大坂屈指の版元にして、実は上方の裏仕事の元締である一文字屋仁蔵の許には、数々の因縁話が持ち込まれる。いずれも一筋縄ではいかぬ彼らの業を、あざやかな仕掛けで解き放つのは、御行の又市の悪友、靄船の林蔵。亡者船さながらの口…

紙の動物園/The Paper Menagerie and Other Stories  (ねこ3.8匹)

ケン・リュウ著。古沢嘉通訳。ハヤカワ文庫。 香港で母さんと出会った父さんは母さんをアメリカに連れ帰った。泣き虫だったぼくに母さんが包装紙で作ってくれた折り紙の虎や水牛は、みな命を吹きこまれて生き生きと動きだした。魔法のような母さんの折り紙だ…