すべてが猫になる

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骨の島/Good Blood  (ねこ3.7匹)

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アーロン・エルキンズ著。青木久惠訳。ハヤカワ文庫。

 

イタリア貴族の当主ドメニコは姪に信じがたい言葉をかけた。「私の子を産んでほしい」と。時は流れ、産まれた子は、実業家として財を増やそうとする。だがその矢先、一族の人間が誘拐され、さらに前当主のドメニコの白骨死体が地中から発見された。調査を始めた人類学教授ギデオンは、骨に隠された一族の数々の秘密を知ることになるが…円熟味を増したスケルトン探偵ギデオン・オリヴァーの推理が冴える本格ミステリ。(裏表紙引用)

 

 

ケルトン探偵シリーズ第10(11)弾。この作品から再びハヤカワ文庫になって読みやすい。

 

今回はギデオンの親友であるフィルに誘われ、ジュリーと共にイタリア冒険の旅に参加。このフィルはイタリア貴族デ・グラツィアと縁があり、プロローグで出生の秘密が明かされている。フィルと共に一族の屋敷を訪れたギデオンだが、現在発生している次期当主アキッレ誘拐事件に巻き込まれ――。

 

最初なかなかギデオンが登場しないので、本を間違えたのかと思い確認してしまった。憲兵隊の大佐・カラヴァーレと仲良くなるギデオン。素直にギデオンの名声を称賛する彼の素直さは◎。一族それぞれにクセがあって、グラツィア家のおかしな決まりごとも面白さに一役買っている感じ。しかも今回、ギデオンが襲われるのが早すぎる(笑)。まだ何もしていないのだが。。誘拐事件プラス、元当主ドメニコの白骨遺体が発見されるというダブルの苦境。

 

物語としては、フィルの驚きの秘密が明かされることで強烈な面白味がある。が、骨があまり関係なかったのと真犯人を突き止めるのがあまり論理的ではなかったかなと。動機としてこの人の考えにはムリがあるような気もしたなあ。恨みが強いのかもしれないが、あの状況でグサリとはならんでしょ。

 

と、色々残念なところもあるが読み物としては面白いほう。あとタイトルは原題のほうが合っているね。