すべてが猫になる

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近畿地方のある場所について  (ねこ3.7匹)

背筋著。角川書店

背筋と名乗るライターの主人公は友人であり編集者である小沢と一緒にオカルト雑誌を作っていた。そして幾つかの不気味な怪談に近畿地方のある場所がかかわっているのではないかという仮説を立てた二人は調査、考察を進めていく。しかし、ある日小沢は現地へ行くと言い残して失踪してしまうのだった。背筋は行方不明になった小沢の目撃情報を募るため、雑誌記事を中心に様々な媒体・メディアから引用抜粋した――少女失踪事件に関する週刊誌報道、ネットの匿名掲示板に投稿された怖い話、おかしな読者からの手紙等を『近畿地方のある場所について』というタイトルでまとめ、WEB上で情報提供を呼びかけていく。だが、これらの怪談と近畿地方のある場所には恐ろしい事実が隠されていて――。(紹介文引用)
 
去年からXなどで話題沸騰となっていたホラー小説。「カクヨム」で連載され評判となり書籍化されたようだ。「変な家」と似たようなかおりがほのかにしたものの、やはり気になったので読んでみた。
 
まあ、たしかに面白いことは面白い。
だが実話風怪談の名手、三津田信三を愛読している自分には全然目新しいことはなかったかな。。作者=語り手とする手法も、読者や雑誌、ネットから抜粋した体験談を引用しリアリティを持たせるやり方も毎度おなじみ。赤い服を着てジャンプするおばさんやら地方に伝わる七不思議や山から呼びかけてくるおじさんやら色々出てくるが、最終的にまとまりがなく真相にまつわるヒントもなく、なんだったんだで終わってしまった印象。裏オチもないしなあ。。肝心要の、ホラーとしての怖さがほとんど感じられなかった。ちょっと文章のうまい素人さんという感じ。最後まで読ませるだけに光るものはあると思うのだが。
 
とはいえそれほど酷くはないので気になる人は試してみても良いかも。あっという間に読み終わります。