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ケンブリッジ大学の途切れた原稿の謎/A Piece of Justice  (ねこ3.8匹)

ジル・ペイトン・ウォルシュ著。猪俣美江子訳。創元推理文庫

ケンブリッジ大学の貧乏学寮セント・アガサ・カレッジ。その学寮付き保健師イモージェン・クワイの家に下宿する学生が、生涯でひとつだけ目覚ましい業績を上げた、ある故人の数学者の伝記を執筆することになった。しかし彼女は、伝記を執筆する初めての人物ではなかったことが判明。前任者たちが執筆をやめたのはどうも、その数学者の空白の期間に原因がありそうで……。好評『ウィンダム図書館の奇妙な事件』に続くシリーズ第二弾!(裏表紙引用)
 
セント・アガサ・カレッジの学寮付き保健師イモージェン・クワイシリーズ第2弾。
前作で「続きは読まないかな~」みたいなことを書いた気はするが、やはりタイトルや表紙が魅力的で読んでしまった。。同じ失敗はすまいとかなり集中してゆっくり読んだおかげで、今回はとても楽しんで読むことができた。地味で真面目な作風なので、サクサク読むと理解が難しくなって退屈に感じるシリーズなのだろうな。
 
イモージェンの家に唯一下宿することが許されているフランが、ある数学者の伝記を教授の代理として執筆することになった。しかしその数学者はとうてい伝記にして面白くなるような面白い人間ではなく、数学の驚異的な発見をしたとはとても思えない人物。調べるうち、数学者の伝記を任された人間が次々と失踪したり死亡したりしていることがわかり…。
 
地道に調査していく前半はやはり退屈だが、キルトの詳細な説明(ここは興味がなければキツイのかも、自分は手芸をやるので興味深く読めた)やカレッジでのカンニング事件が起きるなどして軌道に乗せていく。数学者の妻がトンデモ人物で、その妻が場を引っ掻き回すさまも面白い。イモージェンがフランの身を案じ危険な目に遭うことも。。
女性に学位を与えない時代が描かれたりするので、このシリーズに出てくる女性は良くも悪くも魅力的でキャラが強い気がする。怪しい奴が怪しい感じで登場しているので犯人の意外性を楽しむというよりは、独特で珍妙なこの動機に思いを馳せることに。
 
最後のヴィお婆ちゃんカッコ良かったなあ。。
作者が故人のため、あと2作で終了らしい。完結していないんだろうけど、最後まで追うかな。