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特捜部Q ―吊された少女― /Den Granselose  (ねこ4.3匹)

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ユッシ・エーズラ・オールスン著。吉田奈保子訳。ハヤカワ文庫。

 

コペンハーゲン警察の特捜部Qは未解決事件を専門とする部署だ。ある日ここに一本の電話が入った。けんもほろろに応対したカール・マーク警部補は翌日、電話をかけてきた老警官が、自分の退官式で自殺したと知る。17年前、少女が轢き逃げされ、木から逆さ吊りになり絶命しているのが見つかった事件があった。その事件に取り憑かれていた老警官には、Qが最後の頼みの綱だったのだ。仕方なくカールは重い腰をあげるが…。シリーズ第6弾! (裏表紙引用)

 

 

特捜部Qシリーズ第6弾。早いもんだ。いつも今度の表紙は何色なのかなと楽しみにしているが、今回は黒でカッコイイねー。

 

で、今回の事件はいつもよりなんとなく緩い。17年前、ボーンホルム島ラネ署の警官、ハーバーザートがある日木の上で逆さ吊りになって死んでいる少女を発見した。ハーバーザートは家庭を壊すほど事件にのめり込むが未解決のまま。そしてハーバーザートは自身の退官式の日、その壇上で拳銃自殺を遂げる。自殺の前にハーバーザートは特捜部Qに救いを求める電話をかけてきたが、カールが相手にしなかったのだ――。

 

それほど入り組んではおらず読みやすい事件。交互に展開される、<超越的統合センター>の人々の物語がどのようにカールの事件と関わってくるのだろうか。なんとなく読み進めるうちに想像がついてくるのだが、そう単純でないのがこのシリーズ。なんなら、メインストーリーよりもこの宗教団体に所属する人々のほうが面白かった。教祖に惹かれているが全然女として相手にされないピルヨの存在が1番強烈ではないだろうか。結局修行とやらを重ねようと男女間の嫉妬や欲望からは離れられないのね。

 

メインのほうはハーバーザートの息子が自殺したり遺族はちょっとイっちゃってたりで全く協力が得られない。八方塞がりのカールだけど、ここで活躍するのが特捜部Qのメンバー。アサドは寝言で「殺す」とか言うし車の運転ひどいしお茶はまずいし。ローセはいつもにも増して情緒不安定でラスト大変なことになってるし。新入りのゴードンはいまいちかなあ、まだ。でもアサドの秘密が少し暴かれてしまった。この人謎すぎる。逆に知らないほうがミステリアスでいいかも?

 

というわけで全く減速しないこのシリーズ。完全にキャラもの化しているのはいいのか悪いのか。もちろんいいのだ。