すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

校閲ガール ア・ラ・モード  (ねこ3.7匹)

イメージ 1

宮木あや子著。角川文庫。

 

出版社の校閲部で働く河野悦子。彼女の周りの人たちにもそれぞれ悩みや驚くべき過去が!他社から引き抜きオファーを受けたファッション誌編集者・森尾。彼氏に仕事を理解してもらえない、カタブツ文芸編集者の藤岩。文学賞落選で荒れる作家に対応する、悦子の天敵(!?)貝塚。同僚のお洒落男子、エリンギ似の部長、悦子を気に入るベテラン作家など個性的な面々が大活躍。仕事への活力が湧くワーキングエンタメ第2弾。(裏表紙引用)

 

 

文庫化を心待ちにしていた校閲ガール第2弾~。な、なんとスピンオフ。。ちょっとガッカリしたものの、読んだらそれはそれで面白かった。

 

校閲ガールのまわりのガール・森尾」
元読者モデルの森尾さんがヒロイン。実売誌の編集をしている森尾さんだが、モード誌から引き抜きの誘いが――。私なんかから見ると、出版社勤務で人気ファッション誌の編集者なんてリア充の代表みたいな憧れの仕事だけどな。。あれ、これで終わり?

 

校閲ガールのまわりのガールなんだかボーイなんだか・米岡」
悦子の先輩で、身体は男、心は女の子の米岡くんが主人公。「バリタチ」「リバ寄り」ってどういう意味なんだろう。。。「まともに本も読んでこなかったような子の書く拙い恋愛小説のほうがワクワクした。(中略)文法なんて正しくなくても、編集者が正してゆけばいい」というくだりは真実かもしれないがちょっとショックだった。

 

校閲ガールのまわりのガールというかウーマン・藤岩」
悦子の先輩で、カタブツでダサい藤岩さん。彼氏と「くうたん、りおんたん」と呼び合っているのには笑った。こんな男のどこがいいんだと思ったが、りおんたんがそれでいいなら(笑)。

 

校閲ガールのまわりのサラリーマン・貝塚
編集者に土下座強要、二時間罵倒、選考委員と寝ろとか死ねとか、、こんな作家本当にいるんか?政治家にはいそうだが。わいせつ行為をした作家の本を売れるからと出したがる濱野にはちょっと吐き気が。「書店員の泣きコメントを入れる」って言い草もなんか悲しくなるな。

 

校閲ガールのまわりのファンジャイ」
校閲部部長・エリンギさん(名前が茸原だから。ファンジャイとは菌類のことらしい)のお話。昔担当していた作家が癌で余命幾ばくもないのは辛いな。このお話だけ妙にシリアス。


あと、「皇帝の宿」っていう短編も入っているのだが、これ、なんか読み覚えがあるような。奥さんの書置きが誤字だらけってやつ。どこで読んだんだっけ。


以上。悦子とアフロの彼は一体どうなったんだー。うまく行っているぽいけど。面白かったけど悦子の話が読みたいなあ。それぞれに自分の領域ってものがあって、みんなそこで輝いている、ということが言いたい作品なのだと思うけど、こういうベタでありがちなテーマでも専門性を持って語られているから説得力があるんだなあと。