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御子柴くんの甘味と捜査  (ねこ3.7匹)

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若竹七海著。中公文庫。

 

長野県警から警視庁捜査共助課へ出向した御子柴刑事。甘党の上司や同僚からなにかしらスイーツを要求されるが、日々起こる事件は、ビターなものばかり。上田市の山中で不審死体が発見されると身元を探り(「哀愁のくるみ餅事件」)、軽井沢の教会で逃亡犯を待ち受ける(「不審なプリン事件」)。『プレゼント』に登場した御子柴くんが主役の、文庫オリジナル短篇集。(裏表紙引用)

 

 

若竹さんの読みこぼしを。「プレゼント」で登場した小林警部補と御子柴くんが再登場ということで実質的には続編らしいが、読んでいなくてもなんの支障もなさそう。今回は主人公を小林警部補の部下であり相棒御子柴くんに変更ということで。

 

御子柴くんは東京出身、長野県警の警察官。ひょうんなことから警視庁捜査共助課に出向させられ、東京との連絡調整役となった。不満な御子柴くん。事件のたびに、上司らから地方の名産スイーツをお土産に要求されるという(笑)。自分用に買った土産を勝手に食べる上司とか人として信じられない。この御子柴くん、もの凄い甘党なのかと思いきやそうでもない感じ。好きは好きだろうけど、事件とそれぞれに登場する美味しそうな甘味が無関係だったのも肩すかしだなあ。

 

事件それぞれは内容もミステリ的にも甘いってわけではないけれど、特別コレ、っていうものはないかな。どれも及第点という感じ。内容よりも、推理が煮詰まっている御子柴くんのところへいつも電話をかけてきて適切かつ鋭いアドバイスをする小林警部補がおもしろどころなのかなあ、と。御子柴くんはこの本に出てくる唯一の普通の人って印象なので。まあ気楽に読むのに適しているということで、ほのぼのドタバタ感が好みではあった。