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穢れの町/Foulsham  (ねこ4.8匹)

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エドワード・ケアリー著。古屋美登里訳。東京創元社

 

月桂樹の館で暮らす男の子ジェームズ。ある日館を逃げ出したジェームズは、フィルチングの町で、決して使うなと言われていた金貨でパンを買ってしまう。それがとんでもない事態を招くとも知らず……。物の声を聞く能力をもつクロッド・アイアマンガーと、勇敢な召使いのルーシー。世にも奇妙で怖ろしい運命に見舞われた二人の未来に待つのは? 堆塵館に何が起きているのか。著者本人によるイラスト満載。『堆塵館』で読書界に衝撃を与えた三部作第二部。 解説=深緑野分 (紹介文引用)

 

 

アイアマンガー三部作、第二弾。前作とあまり間を空けない方がいいかも。完全なる続きで、細かい設定を記憶しておくことも大事なので。

 

第二弾は、月桂樹の館で暮らすジェームズ。このジェームズはそう、クロッドの「誕生の品」であるあのジェームズ・ヘンリー・ヘイワードだ。「穢れの町」フィルチングではウンビットが支配しており、記憶を失っているジェームズは使ってはいけない十シリング金貨を使ってしまう。実はその金貨はクロッドの変わり果てた姿で…。という展開。離れ離れとなったルーシーとクロッドはいつ出会うのか。クロッドの金貨としての旅は続く。

 

顔にヒビの入るクリュックシャンクス先生やいかにも怪しい仕立屋など楽しみは尽きない物語だが、なんといっても新キャラのビナディットがいい。前身がゴミで覆われたその姿は著者自身のイラストにもなっているが、まさかこの不気味なビナディットがルーシーと密接に関わり、物語を大きく動かす存在だとは。アイアマンガー一族が今までやってきた所業も明らかになり、クロッドとルーシーは果敢に運命に立ち向かってゆく。

 

また続いてしまうのだが、思い入れがある分前作よりノリノリで読めた。全く勢いを失わないこのシリーズの最終巻「肺都」は12月発売だという。早く続きを。