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ナオミとカナコ  (ねこ4匹)

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望まない職場で憂鬱な日々を送るOLの直美は、あるとき、親友の加奈子が夫・達郎から酷い暴力を受けていることを知った。その顔にドス黒い痣を見た直美は義憤に駆られ、達郎を排除する完全犯罪を夢想し始める。「いっそ、二人で殺そうか。あんたの旦那」。やがて計画は現実味を帯び、入念な準備とリハーサルの後、ついに決行の夜を迎えるが…。(裏表紙引用)

 

 

ふぃー!面白かったー!!

 

と、いうわけで奥田さん。夫に酷いDVを受ける主婦のカナコを見かねた親友のナオミは、「クリアランス・プラン」と名付けた「カナコの夫排除計画」を企てる。最初はナオミを語り手にした「ナオミの章」から始まり、2人で入念なリハーサルを行うのだが――。

 

普通に考えたら、殺人を行うリスクと比べたらいくらでも他の排除方法はあると思うのだが、DV被害者は恐怖のあまり行動出来ないと聞く。ナオミの行動や感情は親友としての情と強い正義感(?)からくるものなのだろう。と一応の納得をして読み進める。非力な女2人でどこまで出来るかな?と思っていたが、事前に樹海に穴を掘っておいたり、夫を入れるキャスター付きの大きなバッグや必要な道具を買い求めたりと、意外にしっかりしている。夫と瓜二つの中国人が随分うまいこと近くにいたもんだなあ、とは思うものの、それよりも今時管理人の常駐するマンションの廊下、エレベーター、駐車場はもとより街中にも防犯カメラがついていることに考えが及ばないのは如何かなと。私のような凡人でも、同じことをやるなら(いや、やらないけど)真っ先にそれを気にするけどなあ。計画が破綻する場合、そうではない意外なところから綻びがあったらもっと評価出来たのにな。

 

カナコの章に突入すると、物語が「続き」であったことにビックリ。カナコ視点でもう1度、なのかと思っていた。ナオミの章が「準備と実行篇」で、カナコの章が「逃走篇」ってところかな。ナオミの章は、百貨店外商部で働くナオミと知り合う中国人女社長のキャラが途轍もなく良かった。高級腕時計を盗んでしれっとしていたり謝らなかったり、最初の印象は最悪の一語なのだが、だんだん好きになってきた。中国人は一旦味方になると強いね。まあ、社長ってのもあるけど。とは言え嘘ばっかりの中国人にうんざりしながら読んでいたところもあり、「好き」というよりは「なんか面白いのがいるぞ」って感じ。

 

結末は、まあ、これでいいのかなあ、としか。夫の妹の陽子なんて、被害者遺族だというのに本当に憎らしかったし。心の中で、ホっとした自分がいるのでこれでこの先もうまくやっていったのだろうと思いたい。2人が好きだったわけではないけれど、DV男なんて○ねばいいと思っているのは同じ。そんな感じではあるけど、読ませる面白さで言えば中でも1、2を争う作品ではないかな。