すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

2018-01-01から1年間の記事一覧

遠に呱々泣く八重の繭  (ねこ3.8匹)

高里椎奈著。講談社文庫。 薬屋店長に復帰した秋に早速舞い込んだのは、「おれの友達が、事件を起こしているかもしれない」という中学生からの調査依頼だった。「Aに関わると不幸に遭う」。そう噂される男子生徒の周りでは不可解な事故が続発していた。秋は…

地下街の雨  (ねこ3匹)

宮部みゆき著。集英社文庫。 麻子は同じ職場で働いていた男と婚約をした。しかし挙式二週間前に突如破談になった。麻子は会社を辞め、ウエイトレスとして再び勤めはじめた。その店に「あの女」がやって来た…。この表題作「地下街の雨」はじめ「決して見えな…

森に眠る魚  (ねこ4匹)

角田光代著。双葉文庫。 東京の文教地区の町で出会った5人の母親。育児を通して心をかよわせるが、いつしかその関係性は変容していた。―あの人たちと離れればいい。なぜ私を置いてゆくの。そうだ、終わらせなきゃ。心の声は幾重にもせめぎ合い、それぞれが追…

しあわせの理由/Reasons to be Cheerful and Other Stories  (ねこ4匹)

グレッグ・イーガン著。山岸真訳。ハヤカワ文庫。 12歳の誕生日をすぎてまもなく、ぼくはいつもしあわせな気分でいるようになった…脳内の化学物質によって感情を左右されてしまうことの意味を探る表題作をはじめ、仮想ボールを使って量子サッカーに興ずる人…

コンビニ人間  (ねこ4匹)

村田沙耶香著。文藝春秋。 36歳未婚女性、古倉恵子。大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。これまで彼氏なし。日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ!」の掛け声が、毎日の安ら…

ぼくのミステリ・クロニクル  (ねこ4.2匹)

戸川安宣著。空犬太郎編。国書刊行会。 東京創元社で長く編集者として活躍し、伝説の叢書「日本探偵小説全集」を企画する一方で、数多くの新人作家を発掘し戦後の日本ミステリ界を牽引した名編集者、戸川安宣。幼い頃の読書体験、編集者として関わってきた人…

図書館の殺人  (ねこ4匹)

青崎有吾著。創元推理文庫。 期末テスト中の慌ただしい9月、風ヶ丘図書館で死体が発見された。閉館後に侵入した大学生が、山田風太郎の『人間臨終図巻』で撲殺されたらしい。しかも現場には一冊の本と謎のメッセージが残されていた。警察に頼まれ独自の捜査…

純平、考え直せ  (ねこ3.8匹)

奥田英朗著。光文社。 坂本純平、21歳。新宿・歌舞伎町のチンピラにして人気者。心酔する気風のいい兄貴分の命令は何でも聞くし、しゃべり方の真似もする。女は苦手だが、困っている人はほうっておけない。そんな純平が組長から受けた指令、それは鉄砲玉(暗…

dele  (ねこ3.9匹)

本多孝好著。角川書店。 『dele.LIFE』の仕事は、誰かが死んだときに始まる。死後、誰にも見られたくないデータを、その人に代わってデジタルデバイスから削除する―それが、この会社の仕事だ。新入りの真柴祐太郎が足を使って裏を取り、所長の坂上圭司がデー…

朝が来る  (ねこ4匹)

辻村深月著。文春文庫。 長く辛い不妊治療の末、特別養子縁組という手段を選んだ栗原清和・佐都子夫婦は民間団体の仲介で男子を授かる。朝斗と名づけた我が子はやがて幼稚園に通うまでに成長し、家族は平仮な日々を過ごしていた。そんなある日、夫妻のもとに…

一九八四年/Nineteen Eighty-Four  (ねこ4.5匹)

ジョージ・オーウェル著。高橋和久訳。ハヤカワ文庫。 “ビッグ・ブラザー”率いる党が支配する全体主義的近未来。ウィンストン・スミスは真理省記録局に勤務する党員で、歴史の改竄が仕事だった。彼は、完璧な屈従を強いる体制に以前より不満を抱いていた。あ…

QJKJQ  (ねこ3.9匹)

佐藤究著。講談社文庫。 女子高生の亜李亜は、猟奇殺人鬼の一家に生まれ、郊外でひっそり暮らしていた。父は血を抜いて殺し、母は撲殺、兄は咬みついて失血させ、亜李亜はナイフで刺し殺す。ところがある日、部屋で兄の惨殺死体を発見する。翌日には母がいな…

IQ/IQ  (ねこ3匹)

ジョー・イデ著。熊谷千寿訳。ハヤカワ文庫。 ロサンゼルスに住む黒人青年アイゼイアは“IQ”と呼ばれる探偵だ。ある事情から大金が必要になった彼は腐れ縁の相棒の口利きで大物ラッパーから仕事を請け負うことに。だがそれは「謎の巨犬を使う殺し屋を探し出せ…

錆びた滑車  (ねこ4匹)

若竹七海著。文春文庫。 女探偵・葉村晶は尾行していた老女・石和梅子と青沼ミツエの喧嘩に巻き込まれる。ミツエの持つ古い木造アパートに移り住むことになった晶に、交通事故で重傷を負い、記憶を失ったミツエの孫ヒロトは、なぜ自分がその場所にいたのか調…

メーラーデーモンの戦慄  (ねこ3.7匹)

早坂吝著。講談社ノベルス。 メーラーデーモンを名乗る者から「一週間後、お前は死ぬ」というメールが届いた後、殺害される連続殺人が発生!「お客様」を殺された上木らいちは捜査を開始。被害者は全員、X‐phone社のガラケーを所有していたことが判明する。一…

宿命と真実の炎  (ねこ3.9匹)

貫井徳郎著。幻冬舎。 人間の心を捨ててもずっと一緒にいたかった。 何が“警察官連続殺人事件"を引き起こしたのか? 山本周五郎賞受賞作『後悔と真実の色』続編。渾身のミステリ長編!!(紹介文引用) 宿命と真実の炎 西條シリーズ第2弾ってことでいいのかな?…

アリス殺し  (ねこ4匹)

小林泰三著。東京創元社。 “不思議の国”の住人たちが、殺されていく。どれだけ注意深く読んでも、この真相は見抜けない。10万部突破『大きな森の小さな密室』の鬼才が放つ現実と悪夢を往還する“アリス”の奇怪な冒険譚。(紹介文引用) アリス殺し いつまで経…

粘膜探偵  (ねこ3.5匹)

飴村行著。角川ホラー文庫。 戦時下の帝都。14歳の鉄児は憧れの特別少年警邏隊に入隊した直後、先輩のとばっちりを受け謹慎処分となってしまう。汚名返上に燃える彼は、巷で噂の保険金殺人事件を解決するため独自調査に乗り出すが…。軍部の思惑、昏々と眠る…

雨の日も神様と相撲を  (ねこ3.5匹)

城平京著。講談社タイガ。 「頼みがある。相撲を教えてくれないか?」神様がそう言った。子供の頃から相撲漬けの生活を送ってきた僕が転校したド田舎。そこは何と、相撲好きのカエルの神様が崇められている村だった!村を治める一族の娘・真夏と、喋るカエルに…

私たちは生きているのか?  (ねこ3.7匹)

森博嗣著。講談社タイガ。 富の谷。「行ったが最後、誰も戻ってこない」と言われ、警察も立ち入らない閉ざされた場所。そこにフランスの博覧会から脱走したウォーカロンたちが潜んでいるという情報を得たハギリは、ウグイ、アネバネと共にアフリカ南端にある…

ポイズンドーター・ホーリーマザー  (ねこ3.7匹)

湊かなえ著。光文社文庫。 女優の弓香の元に、かつての同級生・理穂から届いた故郷での同窓会の誘い。欠席を表明したのは、今も変わらず抑圧的な母親に会いたくなかったからだ。だが、理穂とメールで連絡を取るうちに思いがけぬ訃報を聞き…。(「ポイズンドー…

きのうの影踏み  (ねこ3.7匹)

辻村深月著。角川文庫。 小学生のころにはやった嫌いな人を消せるおまじない、電車の中であの女の子に出会ってから次々と奇妙な現象が始まり…、虫だと思って殺したら虫ではなかった!?幼い息子が繰り返し口にする謎のことば「だまだまマーク」って?横断歩道で…

新装版 46番目の密室  (ねこ3.8匹)

有栖川有栖著。講談社文庫。 日本のディクスン・カーと称され、45に及ぶ密室トリックを発表してきた推理小説の大家、真壁聖一。クリスマス、北軽井沢にある彼の別荘に招待された客たちは、作家の無残な姿を目の当たりにする。彼は自らの46番目のトリックで殺…

ミステリー・アリーナ  (ねこ4匹)

深水黎一郎著。講談社文庫。 嵐で孤立した館で起きた殺人事件!国民的娯楽番組「推理闘技場」に出演したミステリー読みのプロたちが、早い者勝ちで謎解きに挑む。誰もが怪しく思える伏線に満ちた難題の答えは何と15通り!そして番組の裏でも不穏な動きが…。多…

検察側の罪人  (ねこ3.8匹)

雫井脩介著。文春文庫。 蒲田の老夫婦刺殺事件の容疑者の中に時効事件の重要参考人・松倉の名前を見つけた最上検事は、今度こそ法の裁きを受けさせるべく松倉を追い込んでいく。最上に心酔する若手検事の沖野は厳しい尋問で松倉を締め上げるが、最上の強引な…

第四解剖室/Everything's Eventual I  (ねこ2.8匹)

スティーヴン・キング著。白石朗 他訳。新潮文庫。 私はまだ死んでいない、死んでいないはずだ。ゴルフをしていて倒れた、ただそれだけだ。それだけなのに。だが、目の前にある解剖用の大鋏は腹へと迫ってくる……切り刻まれる恐怖を描いた標題作のほか、ホラ…

ハピネス  (ねこ3.9匹)

桐野夏生著。光文社文庫。 高級タワーマンションに暮らす岩見有紗は窒息寸前だ。ままならぬ子育て、しがらみに満ちたママ友たちとの付き合い、海外出張中の夫・俊平からの離婚申し出、そして誰にも明かせない彼女自身の過去。軋んでいく人間関係を通じて、徐…

風神の手  (ねこ4匹)

道尾秀介著。朝日新聞出版。 彼/彼女らの人生は重なり、つながる。 隠された“因果律(めぐりあわせ)"の鍵を握るのは、一体誰なのかーー 遺影専門の写真館「鏡影館」がある街を舞台にした、 朝日新聞連載の「口笛鳥」を含む長編小説。 読み進めるごとに出来事…

デボラ、眠っているのか?  (ねこ3.7匹)

森博嗣著。講談社タイガ。 祈りの場。フランス西海岸にある古い修道院で生殖可能な一族とスーパ・コンピュータが発見された。施設構造は、ナクチュのものと相似。ヴォッシュ博士は調査に参加し、ハギリを呼び寄せる。一方、ナクチュの頭脳が再起動。失われて…

我が家のヒミツ  (ねこ3.7匹)

奥田英朗著。集英社文庫。 結婚して数年。自分たちには子どもができないようだと気づいた歯科受付の敦美。ある日、勤務先に憧れの人が来院し…(「虫歯とピアニスト」)。ずっと競い合っていた同期のライバル。53歳で彼との昇進レースに敗れ、人生を見つめ直し……