すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

メーラーデーモンの戦慄  (ねこ3.7匹)

イメージ 1

早坂吝著。講談社ノベルス

 

メーラーデーモンを名乗る者から「一週間後、お前は死ぬ」というメールが届いた後、殺害される連続殺人が発生!「お客様」を殺された上木らいちは捜査を開始。被害者は全員、X‐phone社のガラケーを所有していたことが判明する。一方、休職中の元刑事・藍川は「青の館」で過ごすが、小松凪巡査部長のピンチを知り、訳ありの宿泊者たちと推理を展開。らいち&藍川、二人は辿り着いた真相に震撼する!! (裏表紙引用)

 

 

らいちシリーズ第5弾。

 

え、これでもしかして完結?おなじみの藍川警部と小松凪刑事だけでなく、過去作に出てきたキャラ総出演のサービス精神溢れる作品。作者まで出てきた。前作の事件ですっかり意気消沈してしまった藍川さんが警察を辞めたがるも引き止められ、「自分隠しの旅」と称して’あの’青の館に滞在。小松凪さんはらいちにライバル意識をメラメラ燃やして勝負を挑むし。らいちは自分のお客様が連続殺人事件の被害者になったことを機に推理に心血を注ぐ。

 

今までと比べ推理や捜査の軸となるキャラクターが分散しているため、「らいちの活躍」「らいちの物語」がかなり薄め。個人的に小松凪さんや藍川さんにそれほど思い入れはないので、この構成はあまり歓迎出来なかったなあ。

 

事件の細かい推理は色々多岐に渡っているためそこは楽しめる。特に、「あの音」の正体はこのシリーズらしく見事なるエロネタ。これがなくちゃね。そのせいで今までのような大ネタでビックリ、という破壊力がなかった。藍川さんがいないから小松凪さんが1人で捜査してフラフラして不審者に逃げられました、なんてことある?、みたいなツッコミどころもあったしなあ。警察内部の描写がやっぱりマンガ。
小松凪さんの推理もちょっと強引に感じた。らいちの推理部分はやっぱり流石って感じだし、延々とらいちが読みたいの、私は。早坂作品で初の辛口作品。