すべてが猫になる

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IQ/IQ  (ねこ3匹)

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ジョー・イデ著。熊谷千寿訳。ハヤカワ文庫。

 

ロサンゼルスに住む黒人青年アイゼイアは“IQ”と呼ばれる探偵だ。ある事情から大金が必要になった彼は腐れ縁の相棒の口利きで大物ラッパーから仕事を請け負うことに。だがそれは「謎の巨犬を使う殺し屋を探し出せ」という異様なものだった!奇妙な事件の謎を全力で追うIQ。そんな彼が探偵として生きる契機となった凄絶な過去とは―。新たなる“シャーロック・ホームズ”の誕生と活躍を描く、新人賞三冠受賞作! (裏表紙引用)

 


黒人が探偵役のミステリーということで珍しいなと思って読んでみた。表紙もカッコ良かったし、作者が日系アメリカ人というところにも惹かれたので。

 

主人公アイゼイアは自分のイニシャルとそのホームズばりの推理法(観察力と知識)から「IQ」と呼ばれている。彼には親代わりの最愛の兄マーカスがいたが、交通事故で亡くしてしまう。犯人は捕まらなかった。兄を殺した犯人を追うアイゼイア。さらにアイゼイアは過去に関わった事件以来、重大な障害を負った少年の介護に力を入れている。そのアイゼイアが金策の一貫としてギャングのドットソンと組み、あるラッパー殺害未遂事件を捜査することになるが…というお話。


実は、絶望的に合わなかった。3週間くらいかけて1日数ページずつ読んでなんとか読了した。そんな読み方をしたもんだから、過去と未来が交互に語られるこの構成も今未来なのか今なのかこんがらがってばかり。そして一度こんがらがったらもう戻せないっていう。ラッパーのみならず、とにかく固有名詞の羅列が多いんだよねえ、この作品。黒人街で育った作者らしくそれが雰囲気作りに功を奏しているのはわかるし、汚い言葉もリアリティがあって好きな人は好きだと思うのだが。追っている事件が地味だし、マーカスの過去もそれほどそそられないんだよなあ。主人公が17歳ってのがネックだった。その年齢ならそりゃ他のサスペンスの主人公みたいな壮絶な体験してないわな。主人公がクールで相棒がすぐ切れるナイフみたいな感じなのでその対比は面白いかも。

 

ラストがちょっと思わせぶりに終わるんだよね。これじゃ先が気になっちゃうじゃん(ほんとにコレ疲れたからもう読まないけどさ)。