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アリス殺し  (ねこ4匹)

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“不思議の国”の住人たちが、殺されていく。どれだけ注意深く読んでも、この真相は見抜けない。10万部突破『大きな森の小さな密室』の鬼才が放つ現実と悪夢を往還する“アリス”の奇怪な冒険譚。(紹介文引用)

 


いつまで経っても文庫化されないので借りてきた。なんでだろう?ランキング本に軒並みランクインしていたから売れるはずなのに(私がこんなことしてると来月あたり文庫化されるんだよな~)。


本書は「不思議の国のアリス」を下敷きにした、ファンタジー+SF+ミステリー。もちろん原典にあたっていた方が理解が深まることは間違いない。2段組に始めは恐れをなしたがほとんど会話文だったので難なく読了。大学院生の栗栖川亜理をヒロインとする現代の章と、夢の国で起こる殺人騒動が交互に語られていく体裁。夢の国で起きたことは現代でも起こっており、現代の登場人物には必ず夢の中で「アーヴァタール」と言われる自分が存在する。

 

言葉遊びが繰り返される会話と殺伐とした事件との落差が面白い。牡蠣で食中毒とか犬に顔を食べられたとか刺激的だし。その分現代では誰がどれで夢ではどれが誰でとややこしかったりする。意外性もありさすがランクイン本と言えるレベルの面白さだが、やはり小林さんは小林さん。グロ描写が唐突すぎたり、SF世界が独特だったりとクセが強い。このあたりは好みが分かれるかも。