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ポイズンドーター・ホーリーマザー  (ねこ3.7匹)

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女優の弓香の元に、かつての同級生・理穂から届いた故郷での同窓会の誘い。欠席を表明したのは、今も変わらず抑圧的な母親に会いたくなかったからだ。だが、理穂とメールで連絡を取るうちに思いがけぬ訃報を聞き…。(「ポイズンドーター」)母と娘、姉と妹、友だち、男と女。善意と正しさの掛け違いが、眼前の光景を鮮やかに反転させる。名手のエッセンスが全編に満ちた極上の傑作集! (裏表紙引用)

 


湊さんの文庫新刊は、湊さんの黒さが前面に出た短篇集。毒親とは、毒娘とは――。流行り言葉でいずれブームは去るのかもしれないが、現実にこういう母娘の関係があったらイヤだなあ、と思わせる作品揃い。

 

「マイディアレスト」
2人子どもがいれば、多少可愛さの差というのはあるのかな。でもここまで姉と妹に対応の差がある母親がいたら。。歪んでもしょうがないかも。でもこの作品で歪んでいたのは一体誰?ってところが上手い。

 

「ベストフレンド」
脚本賞の優秀賞に輝いた涼香。最優秀賞を獲った大豆生田薫子(まみゅうだと読むらしい。スマホだと変換されたのだが)、涼香と同じ優秀賞の直下(そそりと読むらしい。変換された!)は授賞式後メールをやり取りする友人に。こういう世界だと嫉妬ってやはりあるんだろうね。自分のほうが出来るのに、とかなんであいつが、とか。そういう人間ばかりじゃないと思うんだけどな、ってところがよく現されている作品。

 

「罪深き女」
なんという黒いお話だろう。。。自分もこういう勘違いをしていないか我が身を振り返ってしまう。どちらも酷い母親だなあと思わせて。。他人から見えるものってその家の100%じゃないからね。でも現実だと、やっぱり虐待なんかは目に見えるまんまなんじゃないかなと思うけれど。

 

「優しい人」
この世に本当に汚れのない優しい人っているのかな。性格的に優しい人や思いやりのある人はいるけれど、イコール素晴らしい人なのかどうかは実際のところ腹の内を覗いてみないと分からないなあと日々思う私。というのは、主人公がちょっと自分と似ているところがあったから。基本誰にでも優しいんだけどおかしな人は全力で拒絶するところとか。。


「ポイズンドーター」
女優になった弓香に同窓会の招待が。自殺した元同級生や友人の毒親、自身の毒親など、キツいエピソードが続くのだが、まさかの「つづく」。真相はいかに。

 

ホーリーマザー」
これはもう、どっちの言い分も分かるというやつだね。母親にそんな完璧を求めてもしょうがないと思うし、大人にならないと分からない親のことって絶対にあると思う。



以上。ちょっと精神的にダメージを食らう作品が多いが、なかなか出来の良い作品集かと。それにしても、思っていることと全く違うことを言う人物ばっかりで辟易した。自分、あんまリアルで綺麗なことしか言ってこない人って敬遠するタイプだからずっと読んでいてモゾモゾしたなあ。