すべてが猫になる

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きのうの影踏み  (ねこ3.7匹)

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辻村深月著。角川文庫。

 

小学生のころにはやった嫌いな人を消せるおまじない、電車の中であの女の子に出会ってから次々と奇妙な現象が始まり…、虫だと思って殺したら虫ではなかった!?幼い息子が繰り返し口にする謎のことば「だまだまマーク」って?横断歩道で事故が続くのはそこにいる女の子の霊が原因?日常に忍び寄る少しの違和感や背筋の凍る恐怖譚から、温かさが残る救済の物語まで、著者の“怖くて好きなもの”を詰め込んだ多彩な魂の怪異集。(裏表紙引用)

 



辻村さんの怪奇短編集。

 

へえ~、辻村さんのホラーって初めてだなあ~。ホラーというより、ジュブナイル風味のちょっと怖い話と言った方がぴったりかもしれない。13編収録されているので出来不出来の差はあるが、逆に言うと誰でも好きなお話が一つ二つあるのではないかな。


好きだったのは女子同士の友人関係の危うさをオチでくっきり表現した「十円参り」、謎のファンレターの中身がどんどん変わっていく「手紙の主」、三歳の息子が突然言い出したマークの正体にゾっとする「だまだまマーク」、ナマハゲ研究にやって来た女学生たちの運命がリアルな「ナマハゲと私」、ネットにある情報は全て噂?!「噂地図」など。

 

辻村さんの私生活が垣間見える作品が多いのが特徴で、幼い子どもや作家のお話が目立っていたように思う。恐怖というものは身近にあるから怖いもので、辻村さんは我が身に降りかかるキワキワのところを描くのが本当にお上手。

 

ショートショートはあまりいいのがなかったかも。坂木さんの作品などでも思ったのだけど、ショートショートって実は意外と一番難しいんじゃないかなと。。辻村さんほどの作家でも描きこなせないのだから。(えらそですいません)