すべてが猫になる

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2017-07-01から1ヶ月間の記事一覧

死命  (ねこ3.8匹)

薬丸岳著。文春文庫。 若くしてデイトレードで成功しながら、自身に秘められた女性への殺人衝動に悩む榊信一。ある日、余命僅かと宣告され、欲望に忠実に生きることを決意する。それは連続殺人の始まりだった。元恋人の澄乃との皮肉な再会。犯人逮捕に執念を…

御子柴くんの甘味と捜査  (ねこ3.7匹)

若竹七海著。中公文庫。 長野県警から警視庁捜査共助課へ出向した御子柴刑事。甘党の上司や同僚からなにかしらスイーツを要求されるが、日々起こる事件は、ビターなものばかり。上田市の山中で不審死体が発見されると身元を探り(「哀愁のくるみ餅事件」)、軽…

豆の上で眠る  (ねこ3.7匹)

湊かなえ著。新潮文庫。 小学校一年生の時、結衣子の二歳上の姉・万佑子が失踪した。スーパーに残された帽子、不審な白い車の目撃証言、そして変質者の噂。必死に捜す結衣子たちの前に、二年後、姉を名乗る見知らぬ少女が帰ってきた。喜ぶ家族の中で、しかし…

怪物はささやく/A Monster Calls  (ねこ3.7匹)

パトリック・ネス著。シヴォーン・ダウド原案。ジム・ケイ絵。池田真紀子訳。 真夜中過ぎ、墓地にそびえるイチイの大木の怪物がコナーのもとに現われて言う。「おまえに三つの物語を話して聞かせる。わたしが語り終えたら、おまえが四つめを話すのだ」母の病…

トオリヌケ キンシ  (ねこ4.6匹)

加納朋子著。文春文庫。 「トオリヌケ キンシ」の札をきっかけに小学生のおれとクラスメイトの女子に生まれた交流を描く表題作。ひきこもった部屋で俺が聞いた彼女の告白は「夢」なのだろうか?(「この出口の無い、閉ざされた部屋で」)。たとえ行き止まりの袋…

ナオミとカナコ  (ねこ4匹)

奥田英朗著。幻冬舎文庫。 望まない職場で憂鬱な日々を送るOLの直美は、あるとき、親友の加奈子が夫・達郎から酷い暴力を受けていることを知った。その顔にドス黒い痣を見た直美は義憤に駆られ、達郎を排除する完全犯罪を夢想し始める。「いっそ、二人で殺そ…

本棚探偵 最後の挨拶  (ねこ4.2匹)

喜国雅彦著。双葉文庫。 せっかく多くの古本を蒐めても、墓場までは持っていけない―そのことに気づいた著者が、厳選に厳選を重ね、トランク一つ分に本を詰めてみたり、私家版『暗黒館の殺人』の製作に着手したり、再び日下三蔵邸の本棚整理に行ってみたり…。…

特捜部Q ―吊された少女― /Den Granselose  (ねこ4.3匹)

ユッシ・エーズラ・オールスン著。吉田奈保子訳。ハヤカワ文庫。 コペンハーゲン警察の特捜部Qは未解決事件を専門とする部署だ。ある日ここに一本の電話が入った。けんもほろろに応対したカール・マーク警部補は翌日、電話をかけてきた老警官が、自分の退官…

江神二郎の洞察  (ねこ4匹)

有栖川有栖著。創元推理文庫。 英都大学に入学したばかりの一九八八年四月、すれ違いざまにぶつかって落ちた一冊―中井英夫『虚無への供物』。この本と、江神部長との出会いが僕、有栖川有栖の英都大学推理小説研究会(EMC)入部のきっかけだった。アリス最初の…

私に似た人  (ねこ3.7匹)

貫井徳郎著。朝日文庫。 小規模なテロが頻発するようになった日本。実行犯たちは実生活では接点がないものの、一様に、冷たい社会に抵抗する“レジスタント”と称していた。テロに関わらざるをえなくなった、それぞれの人物の心象と日常のドラマを精巧に描いた…

西巷説百物語  (ねこ4匹)

京極夏彦著。角川文庫。 大坂屈指の版元にして、実は上方の裏仕事の元締である一文字屋仁蔵の許には、数々の因縁話が持ち込まれる。いずれも一筋縄ではいかぬ彼らの業を、あざやかな仕掛けで解き放つのは、御行の又市の悪友、靄船の林蔵。亡者船さながらの口…