すべてが猫になる

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なぎなた  (ねこ4匹)

倉知淳著。東京創元社

完璧だったはずの殺人計画を徐々に崩壊へと導いてゆく、”死神”を思わせる風貌の警部。米大統領選挙の熱狂の最中、勃発したひとつの殺人事件。謎は、消え去った三発の銃弾。たくらみに満ちたミステリ・ワールド、二冊同時刊行!(紹介文引用)


「こめぐら」の姉妹編でござる。お仲間さんから情報があった通り、「こめぐら」がちょっとコミカルなテイストだったのに対しこちらはシリアスでストレートな系統ばかりを集めた作品。


「運命の銀輪」
乙姫警部、通称「死神」が登場。あれ、倉知作品にこんなシリーズあったっけ?と一瞬自分の記憶喪失を疑ったが初登場キャラ。そういえば倉知ものの単発作品って、「シリーズ化してほしい」というぐらいキャラが立つんだよなあ。

「見られていたもの」
冒頭の作者注がなにやら不穏だったのでびくびくして読んでしまったじゃないか^^;この仕掛けはそんなに驚かなかったていうか、好きじゃないぞ。

「眠り猫、眠れ」
また猫ちゃんが登場。あれ、倉知さんって猫ちゃん好きなの?と思ってよく考えたら「猫丸先輩」・・・^^;にゃるほど。愛猫の死期が近づいたことを通して、主人公の心のくぎりが付いたこの感じがいいなと思った。

「ナイフの三」
世間を震撼させている指切り魔事件を、コンビニ前に屯する若者たちが推理していくというゆるミス。これ、シリーズ化して欲しいなと思ったよ。

「猫と死の街」
また猫ちゃん。。迷い猫探しと、ちょっと怖いある事件を絡めたお話。終わり方が結構好き。人間らしいなと思う。

「闇ニ笑フ」
一番気に入った作品。グロテスクな映画のシーンで笑いながら鑑賞している美女の謎。最後の一行で「ああ!」と膝を打つ。

「幻の銃弾」
なんちゃって翻訳もの?テーマの重厚さもあってか、あまりすらすら入り込めず。ハヤカワ文庫とかで「三発の銃声」ってタイトルでほんとにこういう長編ありそう。・・・っってのが狙いだろうけど。


以上なり。
猫丸ものが入っていると思っていたので残念。倉知初心者には「こめぐら」よりコッチのほうがいいかな。あと、この作品集のうち、ある二つの作品が同じ主人公なのだそうで。ちょっとそういうの面白いね。

(325P/読書所要時間3:00)