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invert II 覗き窓の死角  (ねこ4匹)

相沢沙呼著。講談社

嵐の山荘に潜む若き犯罪者。そして翡翠をアリバイ証人に仕立て上げる写真家。犯人たちが仕掛けた巧妙なトリックに対するのは、すべてを見通す城塚翡翠。だが、挑むような表情の翡翠の目には涙が浮かぶ。その理由とはーー。ミステリランキング5冠『medium 霊媒探偵城塚翡翠』、発売即重版10万部『invert 城塚翡翠倒叙集』に続く待望の第3作目。犯人視点で描かれる倒叙ミステリの金字塔!(紹介文引用)
※1作目のネタバレあり。
 
 
 
城塚翡翠シリーズ第3弾。2編収録されていて、どちらも倒叙もの。2度目が通用しない1作目のインパクトを超えられるはずはないのでそこは採点甘めで。普通にキャラ探偵ものとしては充分に面白かった。
 
「生者の言伝」
友人の別荘に忍び込み、家人を殺してしまった中学生。折り悪し嵐の中、山中帰宅困難となった翡翠と真が訪ねてきた。翡翠の色香に惑わされ、少年は2人を家に入れてしまうが――。殺人事件なのにコメディのような少年の慌てっぷり。どんでん返しや少年の心の変化は良かったものの、誰でも簡単に見抜けるような少年の言葉の矛盾を突いて推理とする部分だけはいただけなかった。「え、そんなことから嘘を見抜いたのか!」が欲しい。
 
「覗き窓の死角」
フォトグラファーの詢子は、妹の死の原因を作ったモデルの女性を殺害、偶然出会った翡翠にモデルを依頼し、アリバイ工作に利用しようとするが――。初めて出来た友人に浮かれる翡翠の姿が悲しかったな。友人を追い詰めなければならないその葛藤と、それでも自分の正義を貫こうとする姿勢も良かった。この犯人はかなりしぶとく賢いので、2人の攻防にハラハラ。真の活躍も見もの。
 
以上。
翡翠のあざとさが完全に演技ではなく、無生物に「さん」をつけるところやぶりっこポーズなどは素なのでは、、と気づいてしまいちょっと食傷気味。真と2人でキャッキャと擽り合うシーンなどは読んでいて拷問。あざと女子が実は裏では真っ黒、だから楽しかったんだけど。完全に翡翠のキャラには飽きました。これがラノベだったら普通なのだろうけども。。本格ミステリとしては今までで1番ちゃんとしていたかなと(2作目)思うので、キャラのイライラさえなければもっと高得点だった。まあしかしこの過剰なほどわざとらしいぶりぶりキャラあっての作品だからなあ、と思うと悩ましいところ。