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此の世の果ての殺人  (ねこ3匹)

荒木あかね著。講談社

小惑星「テロス」が日本に衝突することが発表され、世界は大混乱に陥った。そんなパニックをよそに、小春は淡々とひとり太宰府で自動車の教習を受け続けている。小さな夢を叶えるために。年末、ある教習車のトランクを開けると、滅多刺しにされた女性の死体を発見する。教官で元刑事のイサガワとともに、地球最後の謎解きを始める――。(紹介文引用)
 
最年少の江戸川乱歩賞ということで。ランキング系にも入っていたのと、乱歩賞ぽくない本格ミステリー風タイトルに惹かれたので読んでみた・・・が、良くも悪くも乱歩賞だった。あと二ヶ月で小惑星が九州に衝突し、世界は滅亡する。多くの国民が海外へ逃亡する中、終末を福岡で過ごすことを覚悟した人々。語り手のハルと元刑事で自動車教習所教官のイサガワのコンビが、あと二ヶ月で地球が滅亡するという状況下で発生した連続殺人事件を追う。
 
控えめに言ってあまり好みの作品ではなかった。歪んだ正義感を持つイサガワさんも、この状況で妙に淡々としたハルも好感度が低かったし、対してキャラクターのキツい他の仲間(車椅子の殺人犯暁人と弟の光、女子中学生七菜子)はマンガみたいでお寒い感じだったし。。描き分けの技術はすごいと思うんだけど。説明ではなく発言でその人の性格を現す能力は高いし、どのキャラの名前をカタカナ表記にするか、もミステリーの手法を分かってるなあと思う。
 
う~ん、でも設定がスティーヴン・キングをぬるくしたような、伊坂幸太郎からユーモアと風刺を抜いたような、、って感じしか持てなくて、何度挑戦しても眠くなって眠くなって、、。ミステリーとして期待していた部分が至って普通だったのと、謎解きよりも人間ドラマのほうに重きを置いている感が好みに合わなかった。ラストシーンの静謐さはいい味わいがあったけどね。