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むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。 (ねこ4匹)

青柳碧人著。双葉社

日本昔ばなし×本格ミステリふたたび!  2019年4月に刊行されるやいなや瞬く間にベストセラーとなった『むかしむかしあるところに、死体がありました。』の続編が誕生。 今回収録されたのは、「かぐや姫」「おむすびころころ」「わらしべ長者」「さるかに合戦」「ぶんぶく茶釜」の5編。 果たしてこれらの昔ばなしがどんなミステリになったのか。 各作品を通してのテーマが隠されており、それぞれのつながりも楽しい短編集。(紹介文引用)
 
むかしむかしシリーズ第2弾。厳密に言うと第3弾だと思うけれど、前作は西洋童話をモチーフにしているものなので日本童話モノとしては第2弾。今回も有名な童話を5編楽しくだけど残酷にミステリーとしていじり倒していて面白かった。
 
「竹取探偵物語
ご存知のかぐや姫が複数の求婚者にこの世にない珍しい物を持って来れる人がいたら結婚しますと試練を与えるところまでは一緒。しかしその求婚者の1人が家で密室死体となって発見されるというもの。かぐや姫の正体ってそうだったのー。。かぐや姫を育てたシゲさんとの絆にもホロリ。
 
「七回目のおむすびころりん」
このお話はきちんと知らなかったけど、読んでいてなんとなく分かったという感じ。
何度も穴に落ちるじいさん、タイプリープしてて面白い。偶数回がどうの何回飛ばしだのややこしいが。可哀想な感じで終わったけど、これはあくまで「この回の」じいさんだと思ったら無限に話ができそう。
 
「わらしべ多重殺人」
わらしべ長者は持っていた本なので結構分かる。長者になってからの話になるので興味深いなー。もちろん殺人は起こるのだけど、殺したのは自分だという者が3人もいるのが読みどころ。ものすごいトリックがあるというよりは、この物語世界ならではの設定でロジックを積み重ねているから斬新。
 
「真相・猿蟹合戦」
このお話もちろん知っているのだけど、子どもの頃、復讐方法がすごく怖くて苦手だったんだよねえ。臼とかが動くのも怖いし(笑)。今はソフトに書きかえられてるんだってね。それもどうなの。人間関係(猿狸関係??)のややこしい復讐モノ、読み応えあり。
 
「猿六とぶんぶく交換犯罪」
このお話はボヤっとしか知らないのだけどなんとなく理解しながら。これは今までの4作を繋げてさらに発展させたお話。殺人(獣)事件、復讐をテーマにしつつ、次々と犯人が推理で変わっていくのが面白い。
 
以上。
基本的には復讐モノがベースとなっている感じかな。だから漂う雰囲気は悲しいし、切ないし、それでいて残酷。いかにも昔話っぽい。その雰囲気を損なわずに、時にはブラックユーモアを交えながら本格ミステリーに仕上げているのがさすがだった。1作目よりは少し落ちるかもしれないけど(ややこしくなったかな~~)、楽しいシリーズだな。