すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

いかしたバンドのいる街で/Nightmare&Dreamscapes (ねこ3.7匹)

イメージ 1

スティーヴン・キング著。白石朗他訳。文春文庫。

 

自動車旅行中、小さな、美しい街に迷い込んだ一組の夫婦。だが、「ロックンロール・ヘヴン」という名のついたその街はどこかおかしい。なぜ、住民が皆、見たことのあるような人たちばかりなのか…?ロック&ホラーの傑作として名高い表題作をはじめとする全6篇を収録。鮮烈な描写、後を引く余韻。キング節が冴え渡る。(裏表紙引用)

 

 

単行本「いかしたバンドのいる街で ナイトメアズ&ドリームスケープスⅠ」「ヘッド・ダウンナイト&ナイトメアズ&ドリームスケープスⅡ」を四分冊し改題した作品の第二巻だそうだ。や、ややこしい^^;

 

「献辞」
キングの小説には前書きが多いから、これもてっきりそうなのかと思って読み飛ばすところだった。本物の謝辞にしては長いなと思ったらこういうタイトルの小説だったという。小説家になった息子を自慢する母親のお話。才能ある人ってどこか人格がアレなのかなーってことを皮肉った作品らしい。

 

「動く指」
クリスティに同名の長編があるね。排水口から指だけ現れるというB級ホラー。関節どんだけあるねん((((;゜Д゜)))。刺激の強い洗剤を流すところとかハラハラしたー。実はこういう何がなんだかわからないものに襲われるホラーが好み。そして地味。展開は派手。

 

「スニーカー」
トイレに現れる死者という定番のお話なのだが、いつも下からスニーカーだけ見えてるのがコワイ。こういうのって演出次第でこんだけ怖くなるのかと。

 

「いかしたバンドのいる街で」
道に迷った若い夫婦がたどり着いた街は、死んだロックスターばかりが住んでいた――。キングの趣味が垣間見える作品。夫にイライラする^^;想像したら本気で洒落にならない世界だと思うのだが、ひょっとしてキング、こういう街に住みたいとか思ってない?

 

「自宅出産」
ゾンビ映画をイメージしたお話。タイトルから想像していたのとは違った。出産のくだりがメインなのかと思ったが、ゾンビと対決するお話だった。

 

「雨期きたる」
1年に1度、夜、あるものが降る街のお話。若い男女がやって来て、帰るように忠告されるが――。ニュースで実際に、オタマジャクシが降ってくる街ってやっていたような気がするんだけど。それが頭にあったからそれほど突拍子もないとは思わなかった。大騒ぎのあとのホンワカした会話になんだか笑ってしまった。

 

以上。「動く指」「スニーカー」が好きだけど、どれも自分の好きなキング節ばかりで面白かった~。ワンパターンも多いけど、こういう単純なものが私は好きだなあ。単純だけどキングの手にかかると脳内でイメージが広がるんだよね。