すべてが猫になる

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○○○○○○○○殺人事件  (ねこ3.8匹)

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早坂吝著。講談社ノベルス。第50回メフィスト賞受賞作。

 

アウトドアが趣味の公務員・沖らは、フリーライター・成瀬のブログで知り合い、仮面の男・黒沼が所有する孤島で毎年オフ会を行っていた。沖は、今年こそ大学院生・渚と両想いになりたいと思っていたが、成瀬が若い恋人を勝手に連れてくるなど波乱の事件が!さらには意図不明の密室が連続し……。果たして犯人は?そしてこの作品のタイトルとは?(※真相とタイトルが分かっても、決して人には話さないで下さい)(裏表紙引用)

 


メフィスト賞ってまだやってたのね。ある時期までは必ず読んでいたのだが、調べたところによると44回から私はもう読んでいないらしい。本書はお仲間さんのところで好意を持って紹介されていたのと、「読書メーター読みたい本ランキング第一位(その他部門)」という狭い煽り文句、前代未聞のタイトル当てミステリーというのにつられて久々に手を出してみた。表紙がイヤなのでずっとカバーつけてたけどね。。。ちなみに作者名は「はやさかやぶさか」、タイトルは「まるまるまるまるまるまるまるまるさつじんじけん」と読む。

 

で、どうだったかと言うと。

 

文章はかなり平易でコミカル。主人公は女ウケは絶対しなさそうな、卑屈でちょっと気持ち悪いタイプ。登場人物もそれぞれにクセがあるし説明が詳しいので覚えやすい。この真相は難しすぎて絶対わからないだろう、などと読者を煽ってくるあたりもミステリ好きにはたまらないのではないか。まあ、個人的には、事件はなかなか起こらないし、主人公の行動や言動、彼の豹変などはかなりドン引きレベルだし、いい加減イライラしてしまった。が、解決編で真相が明らかになってからの爽快感がいい意味で台無しにしたという感じ。あのイライラムカムカも、思えば伏線みたいなものだったわけで。確かに今までに読んだことのないタイプの真相だったな。


褒めておいてナンだが、ミステリ的には別に画期的でも衝撃でも何でもないと思う。「タイトル当て」という遊びが斬新だったわけで。そのタイトル自体は真相が分かってからは「なるほどー!」で留まるようなものかと。まあ、あんまり言うとバレてしまうのでアレだけども、好みは分かれるんじゃないかなあ、これ。読みたい人は注意してください、特に女性は。本ミス好きの人はとりあえず参考までに手を出してみるべきかも。今はこういうのもあるよ、ってことでね。