すべてが猫になる

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フリアとシナリオライター/La tia Julia y el Escribidor  (ねこ4.6匹)

 

結婚式当日に突然昏倒した若く美しき花嫁。泥酔して花婿を殺そうとする花嫁の兄。一体ふたりの間には何があったのか!?巡回中のリトゥーマ軍曹が見つけた正体不明の黒人。彼の殺害を命じられた軍曹は果して任務を遂行することができるのか!?ネズミ駆除に執念を燃やす男と彼を憎む妻子たち。愛する家族に襲撃された男は果して生き延びることができるのか!?
ボリビアから来た<天才>シナリオライター、ペドロ・カマーチョのラジオ劇場は、破天荒なストーリーと迫真の演出でまたたく間に聴取者の心をつかまえた。小説家志望の僕はペドロの才気を横目に、短篇の試作に励んでいる。そんな退屈で優雅な日常に義理の叔母フリアが現れ、僕はやがて彼女に恋心を抱くようになる。一方精神に変調を来したペドロのラジオ劇場は、ドラマの登場人物が錯綜しはじめて……。『緑の家』や『世界終末戦争』など、重厚な全体小説の書き手として定評のあるバルガス・リョサが、コラージュやパロディといった手法を駆使してコミカルに描いた半自伝的スラップスティック小説。


beckさんのおすすめ、るんるん(^^)♪沢山紹介されていた記事の中でたまたま見つかった作品を選んだのだが、これが大ヒット。ラテン文学ということも知らずこの作者がノーベル文学賞受賞者だということさえ読後に知りあらすじも読まずウキウキとこの分厚く重たい単行本のページをぱらぱらぱらり。おかげで第1章を3回も読み直してしまい今思うと笑える3日前のあわてふためく自分。


いや~~~も~~~とにかく面白かった。
18歳の主人公・マリオが義理の叔母(32歳!)に恋をし、周囲の猛反対に遭いながらも法をかすめなんとしてでも結婚せんとする、これが現実の章。
そして交互に繰り広げられるのが、変人にして天才シナリオライター・ペドロのラジオ劇場。それぞれにタイトルが付いているわけでもなく、独立したリドルストーリー(「女と虎」みたいなやつね)なのだがこれがまた格別の面白さなのだ。結婚式当日、花嫁のお腹に別の男の子供がいることを知らされた花婿の決断はいかに!?とか、少年時代に妹がネズミに食われネズミ駆除に命を懸ける男が家族にもそれを強いて・・・とか、ね、ね、面白そうでしょ?

 

そして次第にその登場人物たちが別の物語に登場してやんのやんのの大騒ぎ。作者のペドロさんがおかしくなったせいなんだけど(笑)。かなり笑える。。それに比べてマリオの恋の行方のほうが普通すぎてあれ?って感じではあったけど(よくよく考えなくても、普通じゃないことやってるんだけどね^^;)、こっちはこっちでオイオイそこまでやるのか、って展開になる。そしてペドロさんの行く末がね、もう悲しいやら可笑しいやら^^;最後の最後まで変わってたなあ、この本。

 

そして実際に現実のマリオさんはフリア叔母と結婚して離婚してるんだね。そのあと従兄妹と再婚しちゃってるもよう。ビックリ。細部のどこまでが本当なんだろう。。この方ももう70代だそうです。他のラテン文学も読んでみよー。