すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

アリバイのA/A is for Alibi  (ねこ2.8匹)

スー・グラフトン著。ハヤカワ文庫。

 

オフィスに来たのは、刑務所暮らしを終えたばかりの女だった。彼女は有能な弁護士の夫を殺害した科で有罪となったのだが、身の潔白をなんとしても証明したいというのだ。興味をおぼえ、事件の洗い直しを始めた私は、意外な事実に気づいた。事件関連の事務所の女会計士が同時期に同じ毒薬で死亡していたのだ――。年齢32歳、離婚歴2回、南カリフォルニアの新しい風、サンタ・テレサの女探偵キンジー・ミルホーン初登場作!(裏表紙引用)

 

ううう、ダメだった(;;)。。めっちゃ読むのしんどかった。。女性読者を多く獲得しているというキンジー・ミルホーンシリーズ、もう十何年も「自分に合わなそうだな」と横目で見ていたのだが。。やっぱ合わないだろうと思ったものは30ページ読もうと300ページ読もうと合わないものなのだ。たとえそれが人気シリーズでも。beckさんの仰ってたことってほんと当たってる。

 

多分、原文も訳も悪くないと思う。。。
私が乗れなかったのは、人物描写の淡白さが原因じゃないかなあ。このキンジーさん、離婚歴2回の女探偵という珍しい職業の上冒頭で「私は人を殺した」と爆弾発言。こりゃ相当ぶっ飛んだ女性かと思いきや、至って普通。それなりにしっかりしていて、それなりに泣いたり笑ったりして、それなりに頭はいいけどちょっとカンが悪くて。それが女性読者の共感を得るのかな。ハードボイルドの男探偵ものだったらちょっとカッコイイけどちょっとムカつく恋愛要素が女性視点だと普通に受け止められたもの。同じことやってるのにね。あと、女流作家だと名詞や固有名詞もサラっと出てくるし(メイベリン、とか)ニヤっとしちゃうね。ビューラーだって島田○司の手にかかると「睫毛を挟んで上に上げる機械」だもんな^^;

 

なんだかなあ、依頼者も冤罪を訴えてる割にドライというか、「軽い」んだよね。もっと必死になってていいと思うんだけどさ。キンジーも何を根拠として動いているんだか。。ていうか、そんな状況で銃とか簡単に向けていいの?悪いやつもキンジーにちょっと畳み掛けられただけで簡単に白状してるしさあ。。
ラストシーンも結構凄い展開になってるんだけど、過程が真面目すぎたせいでこっちはポカーンだよ。

 

よく比較されるというサラ・パレツキーのV・I・ヴォーショースキーも最近読んだんだけど、そっちは私凄く面白かったのよ。登場人物がなんか面白くて(笑)。うーんなんかショックじゃー。