すべてが猫になる

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ピカルディの薔薇  (ねこ3.8匹)

 

猿渡シリーズ、待望の続編! 耽美怪奇短篇集。
探偵役の伯爵とのコンビはすでになく、売れない鬱の作家の猿渡は、一人で難題に巻き込まれる日々。療養所暮らしの青年人形作家と知り合うが、彼の危うさが悲劇を招く。現実と夢の狭間に誘う7篇。


なるほど、こういう作風か。全然理解出来なかったわ^^;え、なんですって!これは続篇ですって!?ということで、「伯爵と猿渡シリーズ第2弾」ということらしい。なかなか人気のようで、帯でも三浦しをんさんが「好きだー!待ってました!」と叫んでいる。

 

わかっていたことではあるが、ミステリシリーズの「ルピナス~」ものとは全然毛色が違う。どれぐらい違うかと言うと、赤川次郎古川日出男ぐらい違う。後者はどちらかと言うと翻訳ものを得意とするお友達に人気かと思うが、周りの津原さん読者層をぐるっと見回してもやはりそういう印象を持つ。要は、難解なのだ。幻想的でグロテスク、美と欲望のめくるめく文章世界は日本語を楽しもうとする意識を高めるものではあるが、読みやすいエンターテインメントに慣れているとこの手はあまりいいことがない。


理解が難しいと先述はしたが、私はこういう世界観は嫌いではない。特に第1、2編の狂った精神世界、死を美しいものと捉えたゾクっとするほどの気色悪さは映像にすると黒ずんだ魅惑的な赤色のイメージだ。3編目以降の作品がどうにも独特すぎるきらいがある。奇想コレクションと同じ流れを感じる。島の伝説、珍味(おもに虫)、不気味な夢などが混ざり合ってそしてその物語たちが繋がり合って迷路に迷い込んだかと錯覚する。もうこっちは頭がクラクラ。字は大きいしページ数は少ないしで甘く見ていたが想像以上に苦戦した。

 

第1弾さっさと借りて来ます。