すべてが猫になる

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首ざぶとん  (ねこ3.5匹)

朱雀門出著。角川ホラー文庫

道教室に通うまりかの先生・嵯峨御流正教授である龍彦の趣味は、なんと怪談蒐集。最初は引き気味のまりかだったが、龍彦の優しげな雰囲気に惹かれ、怪談蒐集の手伝いをすることとなる。ある日まりかは、「おざぶ…おざぶ…」という声が聞こえる穴の噂を聞く。早速龍彦に報告しその穴を調べに行くが、そこで2人は、奇妙で恐るべき怪異に巻き込まれてしまう――。新たな怪談の旗手が描く、日常に潜む怪異の世界。連作短編集!(裏表紙引用)


タイトル&表紙買い。この作者さんの名前どっかで?と思っていたら「今昔奇怪録」を描いた人だった。(←覚えておいてやれよ。。)ちなみに一行目は「すざくもん・いずる・ちょ」と読んで下され。


今回は現代の怪談が4編収録。キャラクターは全編通して同じ。普通の女の子であるまりかが、かつて憧れていた塾の先生と再会して、彼の影響で急に怪談に興味を持つというスタイル。三津田さんのとかだと「ああ~この人本当に怪談好きなのねー」と感じられるけど、このまりかに関しては「ほんとにアナタ怪談好きなの?」という軽さがある。だからこそ親近感があるんだけども、ちょっとこの方、文章が読みづらいんだよね^^;比喩もあまりうまくないし、入れようとしているユーモアも伝わらない寒さが。。

「首ざぶとん」
一番面白かったのはダントツこれじゃないかなー。首ざぶとんって、語呂もいいし(笑)。結構キモイです。怖いやつらの騙しみたいなのもあって、なかなか怖し。


「トモダチ」
友人同士のケータイでの会話に入ってくる「声」。どうやら「真の友人」というものに対してこだわりがあるらしい(笑)。こういうテーマは最近多いしねえ。同じ場所に居るのに会えない、というのは面白かった。

「ひじり」
放火犯?を目撃してしまったまりか。警察に通報するが、ひじりの怪異を知るに及び。。なんか、「言ってはいけない言葉」ネタが続くので飽きて来た。キレがあるようなないようなラストにう~ん。。

「羊を何度も掘り出す話」
ネタがないけど絞りだしたって感じ。竹薮に迷い込んだ龍彦の友人のくだりはどうなるどうなるって感じ。怪異の祓い方がどうも普通すぎてなんとも言えず。


以上。
さくっと怖いので、暇つぶしには最適かと思います。文章もだんだん慣れて来るし、気になるってほどでもないかな。龍彦さんに魅力が感じられればもっと良かったのだけど。