すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

妖(あやかし)の華  (ねこ3匹)

誉田哲也著。文春文庫。

ヒモのヨシキは、ヤクザの恋人に手を出して半殺しにあうところを、妖艶な女性に助けられる。同じころ、池袋では獣牙の跡が残る、完全に失血した惨殺体が発見された。その手口は、3年前の暴力団組長連続殺人と酷似していた。事件に関わったとされる女の正体とは?「姫川」シリーズの原点ともなる伝奇小説が復刊。(裏表紙引用)


誉田さんのデビュー作。
これ、「姫川シリーズの原点」だなんて煽らない方がいいと思うなあ。吸血鬼+ヤクザ・刑事ものだもん。姫川シリーズの井岡が重要なキャラとして出て来るんだけど、じゃあ姫川さんの生きている世界も吸血鬼アリってことになっちゃわない?整合性のないリンクっってこっちの頭ごっちゃになる。。

ところでこの作品、デビュー作とは信じられないくらいしっかりしているし、現在の作品と比べても遜色ないくらい最後まで飽きさせずぐいぐい読ませてくれる。ヒロインの紅鈴(べにすず)のキャラクターは男まさりで色気があり、刑事ものの誉田作品によく出て来るタイプ。やっぱこの作家さん、女性キャラの方が生き生きと書けるんだなあ。まあその、好みとしては「現代と吸血鬼」ということで多少「ん、んん?」となったところがある。しかもヤクザまで絡めるんだもんなあ。。まあ、ヤクザ+刑事ものが苦手なわたくしとしましては、「吸血鬼」という自分ホームの題材が加わったことで好きな感じに近づいたところもある。でも、やっぱヤクザや紅鈴やヨシキの考え方みたいなものが「昭和くさい」もんでむずがゆくってしょうがない。なんかようわからんけど、夜の世界闇の世界の人たちって平成でもこんな感じなんだろか?ハテ?みってら(難波の繁華街)とか夜歩いたら、今だに80年代みたいなスーツや化粧の人居るもんね。紅鈴のビジュアルは自己評価として「イケてる」らしいけど。


さてさて、まあなかなかの異世界でところどころグロくもあり、ホロリとさせる恋愛模様もあり、吸血鬼の哀愁もありで良いのでは。終わり方は刑事ものというより吸血鬼寄りだったのが苦笑^^;ミステリーとして読まないほうが楽しめます、きっと。