すべてが猫になる

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丸太町ルヴォワール  (ねこ3.7匹)

円居挽著。講談社BOX。

祖父殺しの嫌疑をかけられた城坂論語は、変幻自在の論客が丁々発止の応酬を繰り広げる私的裁判“双龍会”の被告となる…容疑を解くためではなく、事件当日、屋敷の一室で二人きりの甘く濃密な時間を過ごした謎の女性“ルージュ”と再会する、ただそれだけのために…。(あらすじ引用)


2011本ミスにランクインしていた中で特に気になった作品だったので読んでみた。講談社BOXと知っていたら読まなかったかもしれないが、手元にあるので仕方がない。わしはポケミスでもノベルスでもないのに二段組だとイラっとする体質である(笑)。

まあしかし、もちろん初読みの作家さん。作風や実力に関するデータが少ないので、第一部のモロ「西尾維新」な文章と世界観が半笑いを生む。もっと言えば「○物語」シリーズである。好き嫌いは置いといて、おかげさまで顔見知りぐらいの親近感が出来自分の中のバリアは開けられた。それなりに楽しめていたのだが、第二部以降がどうもノレない。これは条件を狭めた「一定条件下のミステリー」とは真逆の、「俺たちのルール下」の裁判ものだと判断したのだがどうだろう。本来なら却下される状況証拠や反論がまかり通るため、口がうまいもん勝ちみたいな印象が立ってしまう。ゆえにこれが本格ミステリとして評価されることについては疑問を感じた。

読み物としてはいささかコピーじみてはいるものの文章に筋は通っているからいいと思う。ラノベから飛び出して来たようなキャラクターは好悪を分けそうだが、麻雀をやらない人間には果たしてどうか。個人的には怒るようなレベルでもなくかと言ってこれに時間を使いたくもないジャンル。まあ、でも、若向けの泣かせる文学系よりはこういうのの方が感想を書いてて落ち着く。


(290P/読書所要時間6:00)