すべてが猫になる

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闇ツキチルドレン  (ねこ3.7匹)

天祢涼著。講談社ノベルス

殺意の矛先は犬や猫、そして人間へ―。小さな地方都市を震撼させる事件の容疑者は、県警本部長も務めた元警察官僚・最上倉太朗!“共感覚”美少女探偵・音宮美夜は妙な出会い方をした高校生・城之内愛澄とともに捜査を開始する。だが最上は「私は音宮くんを殺したい」と宣戦布告!狙われた探偵は、裏を知り尽くした男を追い詰められるか?(裏表紙引用)


キョウカンカクシリーズ第2弾~。
表紙の美夜も可愛くなっているし、タイトルはセンスいいし、ますます好みのシリーズに昇格の続編。
会話のテンポも良く、文章もさらに読みやすくなっていて◎。シリーズものでありがちな、元々の設定放置プレイにもなっていないしね。また新しい共感覚が出て来て興味深い。ミステリ的にはこういう世代の探偵ものによく似合う、シリアルキラーもの。 警察や権力者までもが密接に関わり合って来るので、青春ミステリやラノベ風はお断り、って人でも受け入れられそう。登場人物がほとんど心に闇を持っているという点では流行りのタイプかもしれないが。

どうやらこのシリーズは、主要キャラクター以外は使い廻しをしないようだ。そういうところも実に自分好み。ミステリ的衝撃は前作の方が上だったが、じっくり練った構成と真相、ラストの意外性含めどうやら本当に色モノではなく丁寧で堅実な作家らしい。次は隠されていた美夜の背景にも触れてくれそうだし、少なくとも、第1弾に好感を持った読者ならば今回も読んで正解ではなかろうか。

(256P/読書所要時間2:00)